取締役全員が贈与に関しての利害関係者だった場合、利害関係者は決議に参加できな
いことを考えると承認の決議は(できないため)必要ないのでしょうか?
おおまかな質問で申し訳ありません。
>いことを考えると承認の決議は(できないため)必要ないのでしょうか?
具体的にどのような場面かによるところもありますので、こちらで理論上、
想定できるケースをあげて順次解説するという形にさせていただければと思います。
もし、いずれにも該当しないケースの場合には、ご指摘ください。
前提として、取締役会設置会社ということで、3名以上の取締役がいらっしゃると思いますので、
取締役をA,B,Cと仮定して、説明させてください。
1 Aの保有している株を、それぞれBとCに贈与する場合
(例えば、Aの保有している100株を、50株をB、50株をCに贈与)
この場合、法的には、①A→Bの贈与、②A→Cの贈与ということになりますので、
①の承認決議はCが行い、②の承認決議はBが行うということになります。
なお、契約書が一つであっても、承認の対象になるのは、誰から誰にどの株式が何株移転するかということになりますので、この考え方は変わりません。
2 相続等によりA・Bが共有している株をCに贈与する場合
(例えば、ABが100株を共有しており、この100株をCに贈与)
この場合、①Aの共有持分権→Cへの贈与、② Bの共有持分権→Cへの贈与という形かと思われますので、
①の承認決議をBが、②の承認決議をAが行うことになります。
3 Aが、自己の単独保有する株式の持分をB・Cに贈与する場合
(例えば、Aが保有している100株を、100株全体の共有持分割合1/2をそれぞれB・Cに贈与)
通常は「1」のように持株数で贈与することになると思いますし、単独保有株式の持分を分けて譲渡することが可能か
という会社法上の議論もありますので、あくまでも理論上可能性としてありえるというものです。
この場合も、①Aの単独保有のうち持分権1/2をBに譲渡、②Aの単独保有のうち持分権1/2をCに譲渡という構成として、
①の承認決議をCが、②の承認決議をBが行うということにあるかとは思います。
以上のケースではなかったでしょうか。もし、他のケースであれば、再度ご質問いただければ幸いです。
その場合、そもそも、「特別利害関係人」にあたるケースなのか等の検討が必要になるかと思われます。
また、「特別利害関係人」の議論になり、法律上不明確な場合には、実務上は、定款変更をして株式譲渡承認機関を
株主総会に変更するという処理も考えられる部分です。
よろしくお願い申し上げます。