あり、それとは別に秘密保持契約を締結し、その秘密保持契約の中にも損害
賠償規定があるとします。
そのような場合、以下の解釈でよろしいでしょうか?
・秘密保持については、片方でしかカバーされていなところも含め両方が
適用される。
・秘密保持違反にかかる損害賠償については、それぞれの規定に基づき算定
したうえで、重複する部分を除外して適用される。
お手数おかけいたしますが、よろしくお願いいたします。
>ある契約に秘密保持規定及び(他の条項違反の場合も含む)損害賠償規定
がある「契約書」
→「一般の契約書」
>秘密保持契約を締結し、その秘密保持契約の中にも損害賠償規定
がある「秘密保持契約書」
→「秘密保持契約書」
という表現で統一させていただきます。
2 ご質問①~秘密保持義務の範囲~
>そのような場合、以下の解釈でよろしいでしょうか?
>・秘密保持については、片方でしかカバーされていなところも含め両方が
>適用される。
この部分は、最終的には契約当事者の契約当時の意思解釈となりますが、このご理解で良いと考えられます。
特段どちらかの契約や証拠に残るメール等で、どちらかの規定の適用を排除していない限り、そのように解釈されるでしょう。
ただし、2つの規定が同じ事項について【矛盾する内容】を定めている場合はご注意ください。どちらが適用されるか(優先されるか)という問題が出てきます。
この点も、契約当事者の意思をどのように解釈すべきかという問題となります。
一般的には、一般の契約書が一般的なことを含めて定めており、秘密保持契約書が秘密保持に特化した規定であるということからすると、秘密保持に関する事項は後者が優先すると判断される可能性が高いです(あえて、その事項を特別に定めたという当事者の意思を優先)。
ただし、時期的に新しく定めた方が現状の当事者の意思を反映しているという認定の方向性もありますので、例えば、秘密保持契約書締結後に一般の契約書が締結されている場合には、解釈としてはどちらが優先するかは、最終的にはその他の証拠や事実を考慮して、裁判所が確定するということになります。
なお、一般の契約書と秘密保持契約書が、「同時」または「前者の締結が先」ということであれば、特別の事情(メール等で一般の契約書が優先するという明確な証拠等)がない限り、秘密保持契約書が優先すると考えていただいて問題ありません。
実務上は、そのようなあいまいな事態を避けるため、矛盾する場合にどちらが優先するかを、あらかじめ契約条項の中に入れ込んで定めておくこともありますので、ご参考になさってください。
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甲乙間の平成〇年〇月〇日付○○契約(※他の契約書のタイトルを記載してください。)に基づく規定と本契約に基づく規定が矛盾する場合には、本契約に基づく規定が優先する。
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2 ご質問②~損害賠償の範囲~
>・秘密保持違反にかかる損害賠償については、それぞれの規定に基づき算定
>したうえで、重複する部分を除外して適用される。
こちらも、ご質問①と同様に当事者の意思解釈の問題となります。
一般の契約書と秘密保持契約書ですと、上記と同じ論理で、秘密保持契約書が優先されることが一般的かと考えられます。
意思解釈の問題で、究極的には裁判所の判断になってしまいますので、これから作成される場合には、上記のどちらの契約が優先するかという点を明確に契約条項に入れておくことをお勧めします。
よろしくお願い申し上げます。