でしょうか。
1項で「~当該付与決議に基づき当該株式会社と当該取締役等との間に締結された契
約により与えられた当該新株予約権~(当該新株予約権~に係る契約において、次に
掲げる要件が定められているものに限る」とあります。
そして同項6号で保管委託要件(証券会社等と予め締結される契約に従い、SO行使し
た株式を振替口座簿に記録・保管等)が定められています。
この証券会社等との委託契約は付与時点で締結しなければならないか、それとも権利
行使の前で足りるのかについて検討しております。
もし付与時点なら、本件SO発行を検討中の非上場会社にとって、将来発行されるか不
確定なSOのために2年以上前から証券会社等と委託契約結ぶのはハードルが高いと考
えています。
この点、顧問弁護士・行政書士は
「付与時の契約において「行使して株式を取得したら直ちに証券会社等に保管・管理
等を委託すること」を定めていなければならない趣旨と解釈する。
よって、発行要綱には抽象的に(行使前までに証券会社等と保管・管理等委託契約を
締結する旨等)定めればいいのではないか。
実際の証券会社等の選定や契約締結は、行使直前で足りると考える」
との見解ですが、具体的にどのように定めるべきものなのか明確になっていない状況
です。
税制適格を否認されれば給与課税リスクがあるため、検討が必要と考えております。
ご質問①
税制適格SOの設計について、付与時の契約において当該保管委託要件をどのように定
めるものかアドバイス頂けませんでしょうか。
ご質問②
私見ですが、仮に証券会社等との契約は権利行使直前で足りるとしても、そもそも上
場会社か上場直前のベンチャーでないと証券会社等に委託などしないのではないかと
思います。
もし普通の非上場企業による税制適格SOを設計されたご経験があれば、差支えない範
囲でどのような第一種業者と委託契約されたか状況についてご教示頂くことはできま
すでしょうか。
宜しくお願い申し上げます。
>税制適格SOの設計について、付与時の契約において当該保管委託要件をどのように定
>めるものかアドバイス頂けませんでしょうか。
先生もご指摘のとおり、租税特別措置法29条の2第1項柱書により、
「当該新株予約権・・・に係る契約において、次に掲げる要件が定められているものに限る。」とされているため、
租税特別措置法29条の2第1項6号の保管委託の要件について、契約書で定めておくことが必要です。
租税特別措置法29条の2第1項6号の条文の中で、租税特別措置法施行令19条の3第7項を準用し、またその租税特別措置法施行令19条の3第7項の中で租税特別措置法施行規則11条の3を準用して要件を定めているため、その内容が非常に複雑になっています。
もちろん、全ての要件を定める方が安全ではありますが、一般論としては契約書上は、以下のような形で、定められているものが多いかと思います。
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甲:ストックオプションを付与する会社
乙:ストックオプションを付与される方
第〇条(行使手続)
1 乙は、本新株予約権を行使する場合、本新株予約権の行使により取得する甲の株式につき、甲と甲の指定する金融商品取引業者または金融機関(租税特別措置法施行令第19条の3第6項で定めるものに限る。)との間で締結される甲の株式の振替口座への記載もしくは記録、保管の委託または管理・処分に係る信託(以下「管理等信託」という。)に関する取り決めに従い、租税特別措置法施行令第19条の3第8項で定めるところにより、当該株式を取得後直ちに、振替口座に記載もしくは記録され、または管理等信託がされることを了承する。
2 本新株予約権の行使手続等に関する細目事項については、租税特別措置法第29条の2その他の関係法令の規定を踏まて、甲が定めることができる。
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また、税務の処理としては、法令の変更等により適格税制要件が変更された場合も踏まえ、リスクヘッジのため、以下のような条項を入れておくことも多いです。
ご参考にしていただければと存じます。
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第〇条(税務処理)
1 乙は、本新株予約権の付与、行使および行使により取得した甲株式の売却その他の処分に関して課せられる公租公課その他一切の費用を自らの負担と責任において納付する。
2 法令、通達またはその解釈等の変更により、本契約が租税特別措置法第29条の2の適用を受けるための要件を満たさなくなった場合に、甲が同条の適用を受けるために必要な変更を行う契約を締結しなかったことにより、乙が同条の適用を受けられず、または、適用範囲に制限を受けたとしても、甲は、乙に対して責任を負わないものとする。
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2 ご質問②
>私見ですが、仮に証券会社等との契約は権利行使直前で足りるとしても、そもそも上
>場会社か上場直前のベンチャーでないと証券会社等に委託などしないのではないかと
>思います。
>もし普通の非上場企業による税制適格SOを設計されたご経験があれば、差支えない範
>囲でどのような第一種業者と委託契約されたか状況についてご教示頂くことはできま
>すでしょうか。
先生のおっしゃるとおり、普通の非上場企業が証券会社等に委託するというのは、あまりないケースかと思います。私自身も、非上場企業で利用される会社も見たことはありますが、普通の企業という感じではないです。
ただ、証券会社等からすれば、代金を支払えるのであれば、契約を締結してくれる可能性は十分あると思います。
もちろん、実際に動かれる場合には、事前に何社か証券会社等と接触して、見込みがあるかどうかも含めて温度感をご確認いただくことをおすすめします。
よろしくお願い申し上げます。