顧問先の会社が賃貸しているオフィスなのですが、最近オーナーから明け渡すようにと連絡がありました。
理由なのですが、顧問先の社長が、代表取締役かつ100%株主である別の会社の登記をその場所にしているというのが理由のようです。
顧問先としては、オーナーの了承は得ていないということでしたが、賃貸をした際に資本関係と役員関係が一致する会社であれば同居できるという約束であったようです。
それについての記載も一応あります。
ただ、同居の際は、随時一応了承を得るようにとも書いてあります。
実際にこの別の会社は、従業員もおらず、登記をさせてもらっているだけというところです。
この場合、やはり出て行かないといけないのでしょうか。何とか出ていかなくて済む主張や理由があれば教えてください。
>顧問先の会社が賃貸しているオフィスなのですが、最近オーナーから明け渡すようにと連絡がありました。
>理由なのですが、顧問先の社長が、代表取締役かつ100%株主である別の会社の登記をその場所にし
>ているというが理由のようです。顧問先としては、オーナーの了承は得ていないということでしたが、
>賃貸をした際に資本関係と役員関係が一致する会社で
>あれば同居できるという約束であったようです。それについての記載も一応あります。ただ、同居の際
>は、随時一応了承を得るよ
>うにとも書いてあります。実際にこの別の会社は、従業員もおらず、登記
>をさせてもらっているだけというところです。
>この場合、やはり出て行かないといけないのでしょうか。何とか出ていかなくて済む主張や理由があれ
>ば教えてください。
無断で登記をしたことが契約に違反していたとしても、「賃貸人と賃借人の信頼関係が破壊されている」とはいえないので、契約の解除はできないと主張して、建物からの退去を拒むことができるものと考えられます。
2 回答の理由
(1) 義務違反の有無
今回は、賃貸中の物件に、他社の登記を無断で行っていることから、賃貸借契約上の義務(用法義務)に違反することは、争うことは難しいかと考えられます。
もっとも、契約上の義務違反があった場合に、賃貸人は当然に賃貸借契約を解除できるわけではありません。
(2) 信頼関係の破壊の有無
賃貸借契約は、賃貸人と賃借人の継続的な関係の中で成り立っている契約であるため、契約違反があったというだけでは解除はできず、その契約違反により、賃貸人と賃借人の「信頼関係が破壊された」ということが必要になります。
結局、賃貸借契約は、軽微な契約違反では、解除ができないのです。
この点は、売買などの単発の契約が、契約違反があれば直ちに解除できるのとは異なっています。
今回のケースでは、賃貸をした際に資本関係と役員関係が一致する会社であれば同居できるという約束であり、契約書にもその旨記載されているということから、賃貸人としては、今回の別会社の登記をすること自体には強い抵抗はないということができると思います。
実際に登記をする際の了承をとらなかった、という軽微な違反があるにすぎません。
また、登記をすること自体で何らかの実害が出ることは考えにくいので、了承をとらなかったことが、賃貸人と賃借人の「信頼関係を破壊した」と言えるような義務違反には当たらないものと考えられます。
(3)まとめ
以上より、今回のケースでは、了承なく登記をしたことが、「賃貸人と賃借人の信頼関係を破壊した」とはいえないという主張をして、立退きを拒むことができるでしょう。
よろしくお願い申し上げます。