・昭和59年に土地を借りて、土地の上にはマンションが建っている。
・契約から30年経過していますが、契約書には契約期間30年となっている。
という状況で、この先何年借りられるのかという点について、疑問をもっているお客さまがいます。
よろしくお願いします。
>・昭和59年に土地を借りて、土地の上にはマンションが建っている。
>・契約から30年経過していますが、契約書には契約期間30年となっている。
>という状況で、この先何年借りられるのかという点について、疑問をもっているお客さま
>がいます。
※ 契約締結時である昭和59年から30年経過後の平成26年時点で、契約の更新手続きなどをせず、そのままになっているという状況ということでよろしいでしょうか。
以下、その前提で回答します。
当初の契約には、旧借地法の適用(詳細は「理由」をご覧下さい。)があり、契約書に
◯「堅固建物」(鉄骨造りや石造りの頑丈な建物等)を建てることを目的とするという記載がある場合
→ 契約期間は、平成56年まで
◯「非堅固建物」(木造などの頑丈ではない建物)を建てることを目的とする記載がある場合、または建物の構造や種類についての定めがない場合
→ 契約期間は、平成46年までとなります。
契約書の記載を確認していただければと思いますが、今回は、「土地の上にマンションが建っている」ということですので、「堅固建物」を建てること目的としたものかと思われます。
2 回答の理由
(1)適用される法律について
借地契約に適用される法律としては、現在、借地借家法がありますが、その施行日(効力発生日)は平成4年8月1日であり、それ以前になされた借地契約の期間に関しては、借地借家法は適用されず(借地借家法附則6条)、旧借地法が適用されることになります。
今回の契約は、昭和59年になされたものなので、旧借地法が適用されることになります。
(2)旧借地法における契約更新に関するルール
ご質問のケースでは、契約締結時の昭和59年から30年後の平成26年時点で、いったん契約期間満了となっています。
もっとも、借地契約は、契約期間満了時に、契約の更新手続きをしない場合でも、当然に終了するものではありません。
借地契約の期間満了後、借地人が土地の使用を継続している場合、地主が、契約更新について遅滞なく異議を述べ、その異議に「正当事由」がない限り、契約が更新されます(旧借地法6条)。いわゆる法定更新といわれるものです。
ご質問のケースでは、相手方から契約更新に関して異議は述べられていないという理解でよろしいでしょうか。
以下、旧借地法6条により、契約が更新されているという前提で回答します。
(3)更新後の契約期間
旧借地法は、借地契約の更新後の契約期間について、借地の上に「堅固建物」を建てる目的であった場合と「非堅固建物」を建てる目的であった場合で、期間の定めが違っています。以下の3パターンが考えられます。
◯「堅固建物」(鉄骨造りや石造りの頑丈な建物等)を建てる目的であった場合
更新後の期間は30年です(旧借地法5条1項)ので、契約期限は、平成56年となります。
◯「非堅固建物」(木造などの頑丈ではない建物)を建てる目的であった場合
更新後の期間は20年です(旧借地法5条1項)ので、契約期限は、平成46年となります。
◯契約で、建築する建物の種類や構造を定めていないとき
「非堅固建物」を建てる目的であったものとみなされます(旧借地法3条)ので、契約期限は、平成46年となります(旧借地法5条1項)。
以上のように、借地上に、どのような建物を建てる目的であったかにより、更新後の契約期間が異なってきます。
契約書に、建築する建物に関して、どのような記載がなされているかをご確認いただければと思いますが、今回は、「土地の上にマンションが建っている」ということですので、「堅固建物」を建てること目的としたものかと思われます。
よろしくお願い申し上げます。