ネット関係にもお詳しいのですね。
質問は、下請法についてになります。
顧問先が販売者となって、サイト利用者にネットで商品を販売していますが、実際は、サイト利用者から注文があった時点で下請業者に連絡を入れて、直接商品をサイト利用者に送ってもらうというビジネスを検討しています。
いわゆる仮想在庫モデルのスキームなのですが、この顧問先と下請業者に下請法の規制はあると考えてよろしいでしょうか。
(1)ご質問
>顧問先が販売者となって、サイト利用者にネットで商品を販売していますが、実際は、サイ
>ト利用者から注文があった時点で下請業者に連絡を入れて、直接商品をサイト利用者に送って
>もらうというビジネスを検討しています。
>いわゆる仮想在庫モデルのスキームなのですが、この顧問先と下請業者に下請法の規制はある
>と考えてよろしいでしょうか。
この商品の郵送及び保管業務の委託が下請法の適用を受けるかというご質問でよろしかったでしょうか。その前提で回答させていただきます。もし、異なる場合はご指摘ください。
また、「下請業者」というと説明がわかりにくくなる関係で、「下請業者」を「郵送・在庫保持者」とさせていただきます。
(2)回答の結論
顧問先様とこの「郵送・在庫保持者」との間では、下請法の適用はございません。
2 回答の理由
(1)下請法の対象となる取引
下請法の対象となり得る取引は
①「製造委託」(下請法2条1項)
②「修理委託」(下請法2条2項)
③「情報成果物作成委託」(下請法2条3項)
④「役務提供委託」(下請法2条4項)
となります。
今回のご質問で該当する可能性のある取引は、④「役務提供委託」になりますので、これについて解説します。
(2)「役務提供委託」の該当性
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下請法
第2条第4項 「役務提供委託」とは,事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること(・・・省略・・・)をいう。
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とされています。一見すると、今回のように顧問先さまの郵送業務や在庫保管業務の委託をしているものとして、「役務提供委託」に該当するようにも思えます。この部分はかなり間違えやすい部分です。
しかし、下請法で規制の対象となる「役務提供委託」とは、自らが「他者」の業務について委託を受けた内容をさらに「第三者」に再委託する場合の再委託部分をいいます。
今回は、「他者」はサイト利用者で、「第三者」が「郵送・在庫保持者」になります。
そして、今回の商品等を運送及び保管する業務は、サイト利用者(「他者」)の業務ではなく、顧問先様自らの業務にあたります。
ですので、「自らが「他者」の業務について委託を受けた内容」を再委託する場合には当たりません。
以上より、今回、御社と「郵送・在庫保持者」との関係で、下請法の適用はありません。
(3)公正取引委員会のQ&A
なお、かなりわかりにくいですが、
http://www.jftc.go.jp/shitauke/sitauke_qa.html#cmsQ11
この公正取引委員会のだしているQ&Aの「Q11」の部分は、この部分の説明をしています。
このQ&Aを今回の事例にあてはめると、
○「メーカー」→販売者である顧問先様
○「ユーザー」→サイト利用者
○「運送業者」→「郵送・在庫保持者」
となり、下請法の適用はございませんので、ご安心ください。
よろしくお願い申し上げます。