不動産 民法

契約の中途解除 違約金の請求

契約の中途解約の問題についてご質問です。

ビルオーナA社とB社(上場企業)はとあるビルについて
契約を結んでいます。

関与先のC商店はB社とそのビル内の一部を店舗として
使用する定期建物賃貸借契約を結び、商売を営んでおります。
契約日は26年6月23日

今回、B社の勝手な理由で、B社はA社との契約を解約し
このビルから撤退することになったのですが、
CとBとの契約書にはCが中途解約した場合には、中途解約金
がいくらとの文言はありますが、
今回のようにBの一存で契約が解消される場合の中途解約
金のことについては、なんら触れられていないようです。

Q1Cさんも急な話で困っていまして、こういう場合、B社の契約不履行
として、違約金的なものは請求できないものでしょうか?
37条の違約金もCさん側の話なようです。

契約書の契約期間は6年と書いてありますので、不履行だと思うのですが。

Q2できるとすれば、どの程度が相場でしょうか?

Q3他になにかアドバイスございましたらお願い致します

宜しくお願い致します。

1 ご質問および回答の結論
※BからCへの転貸借について、Aの承諾があることを前提に回答いたします。

>Q1Cさんも急な話で困っていまして、こういう場合、B社の契約不履行
>として、違約金的なものは請求できないものでしょうか?
>37条の違約金もCさん側の話なようです。
>契約書の契約期間は6年と書いてありますので、不履行だと思うのですが。

 ご指摘の通り、債務不履行はありますので、
 損害賠償請求をすることは可能です。

>Q2できるとすれば、どの程度が相場でしょうか?

 請求できる損害額は、立退きにかかる費用、転居先に入居する際の費用等があります。
 また、この物件で営業していれば得られた営業利益を請求することもできる可能性があります。

>Q3他になにかアドバイスございましたらお願い致します

 下記の理由の通り、具体的な事情によっては、A社とC商店との法律関係も問題になりえます。
 この辺りの法律関係を踏まえた上で、損害賠償の請求を行う方がベターですので、無料相談等をご活用いただくことをお勧めします。

2 回答の理由

(1)損害賠償請求ができるかどうか

 今回の請求の根拠は、B社の債務不履行に基づく損害賠償請求(民法415条)です。
 これが認められるためには、以下の要件が必要です。

 ①B社の債務不履行(契約に定められた義務を果たさなかったこと)
 ②①について、B社に故意、または、過失があること
 ③①による損害の発生

 今回、B社がA社との賃貸借契約を解約したことで、C社は出て行かざるを得えなくなっています。
 これは、B社がC社に建物を使用させなければならないという義務を果たさなかったということなので、①B社の債務不履行があったといえます。

 また、「B社の勝手な理由で、B社はA社との契約を解約し」たとのことですので、B社に故意もあります(②)。

(2)③損害の発生

 まず、今回のケースで損害として考えられるのは、立ち退きにかかる費用です。
 また、新しいテナント等に入るということであれば、その入居の際にかかる初期費用も請求できる可能性があります。

 さらに、この物件で営業していれば得られた営業利益についても請求できる可能性があります。ここは、具体的に「利益の何か月分」というような相場があるわけではありません。

 この物件で営業していれば、どのぐらい利益が出ていたかということは、将来的な要素がかかわることですし、今後別のテナントで営業をして利益が上がれば、その部分が差し引かれるということもあり得るので、不確定な要素が多いです。裁判になれば、主張の仕方等によって、金額が大きく左右される部分です。

 このように裁判になれば争いの大きい部分ですが、交渉段階では、相手が合意をすればよいので、最初は、多めの額を請求されてもよいかと思います。たとえば、「実際に関与先の会社さんで上がっている利益額の1年分」というような請求が考えられます。

(3)その他の注意点

 上記の例は、C商店が実際にビルからでていく場合の議論ですが、

 A社とB社の賃貸借契約の終了が、A社とB社の合意解除(B社のA社に対する債務不履行等ではない場合)
 には、判例上、C商店は退去しなくても良いとされています。

 ただし、これについては、A社がC商店に転貸の承諾を与えるときに、AB間の契約が終了した場合には無条件でC商店はでていかなくてはならない旨の特約を覚書などでしているのが通常です。

 この特約が有効か無効かについては、覚書の内容のみではなく、その特約が結ばれば具体的な経緯ややりとりを通じて個別判断をすることになる上、裁判例上も一定の結論がでているものではありません。

 上記のように、B社に金銭を請求する場合の交渉の仕方についても、この辺りの法律関係を前提に、行う方がベターです。

 お手数をではありますが、一度、C商店さまに詳細な資料等をお持ちになっていただき、無料初回相談をご活用いただくことを強くお勧めします。

 よろしくお願い申し上げます。