不動産 相続税

倉庫などへの借地借家法の適用

下記の件、よろしくお願い致します

土地建物(倉庫用)を所有する甲が運送業や物流業、製造業(乙)などの事業者に賃貸する場合、一般論で
結構なのですが、乙には、借地借家法の適用はあるのでしょうか?

現在甲の相続税評価を検討していて、土地は貸家建付地1-借地権X借家権)、建物は貸家評価(1-借家権)
で評価する予定ですが、そもそも上記評価は、権利が生じている、立退料を払う、など、権利が生じていることが
前提だと思います、それは、借地借家法がされるからと理解しております

倉庫のような人・物の設備がないような場合でも、借地借家法が原則適用され、営業者への権利が生じ、立退き料の
支払いが生じると考えてよろしいでしょうか?

またプレハブのような、堅固な建物とは言えない倉庫用建物や登記されない建物の場合は、何を基準に建物と判断され
借地借家法が適用されると判断されるのでしょうか?

1 質問および回答の結論
>土地建物(倉庫用)を所有する甲が運送業や物流業、製造業(乙)などの事業者に賃貸する場合、一般
>論で結構なのですが、乙には、借地借家法の適用はあるのでしょうか?

 事業者に貸す場合でも、借地借家法が適用されます。

>倉庫のような人・物の設備がないような場合でも、借地借家法が原則適用され、営業者への権利が生
>じ、立退き料の支払いが生じると考えてよろしいでしょうか?

 倉庫が「建物」にあたれば、借地借家法が適用されます。
 倉庫のように人・物の設備がないことを理由に、借地借家法が適用されないということはありません。

>またプレハブのような、堅固な建物とは言えない倉庫用建物や登記されない建物の場合は、何を基準に
>建物と判断され借地借家法が適用されると判断されるのでしょうか?

 借地借家法上の「建物」とは、壁と屋根があり、永続性がある建築物のことをいいます。
 登記されているかどうかは問われません。
 建築物の構造等にもよりますが、一般の軽量鉄骨のプレハブの建築物であれば、「建物」にあたるものと考えられます。

 判例における具体的な判断例は、下記「2 回答の理由」をご覧ください。

2 回答の理由
(1)借地借家法の適用
 借地借家法は、「建物の所有を目的とする土地」の賃貸借、および、「建物」の賃貸借について、適用されます(借地借家法1条)。

 今回は、甲が所有する倉庫を乙に貸しているということなので、これが「建物」の賃貸借にあたるかどうかが問題となります。

 この「建物」とは、「土地に定着し、周壁・屋根を有し、居住・営業・物の貯蔵等の用に供することができる永続性のある建造物」のことをいいます(大阪高裁判例昭和53年5月30日)。
 平たく言えば、壁や屋根があって、永続性がある建築物のことです。

 登記されているかどうかは問われませんし、賃貸する相手が、事業者なのか消費者なのかでも区別はされていません。

 判例では、「建物」の該当性について、以下のような判断がされています。

(2)「建物」であると認められた事例
 ア 軽量鉄骨のプレハブの建築物(大阪地裁平成8年8月21日)
 イ バスの待合所兼切符売場で、柱・屋根があり、壁もあるもの(東京地判昭和47年7月25日)

(3)「建物」であると認められなかった事例
 ア ガソリンスタンドの地下タンクとキャノピー(東京高裁平成14年4月3日)
 イ 土地に丸太を立て、周囲の一部をトタンで囲っただけのバラック構造の農産物集荷場(大阪高裁昭和37年9月20日)
 ウ 土地上に、直接、戸板を周囲にめぐらし、トタンやテントを屋根とした露店設備(京都地裁昭和60年10月11)
 エ 駅のホームに造られたプレハブ造りの、し好品・新聞・雑誌の売店(東京地裁昭和28年6月23日)

(4)まとめ
 「建物」にあたるかどうかの具体的な判断は、実際の建物の構造等によるところがありますが、上記の判例のように、一般の軽量鉄骨のプレハブの建築物であれば、「建物」にあたり、借地借家法の適用があると考えられます。

よろしくお願い申し上げます。