・株主関係
A•••51%
B•••49%
・相続関係
この度、Aが亡くなりました。
相続人は、Aの子供であるD、E、Fです。
この場合、D、E、Fは共同で株式を相続することになると思いますが、Dが後継者なので、Dに株主として議決権を行使させたいと考えています。
会社法106条ただし書きで、会社から認めれば、Dは単独で議決権を行使することは可能でしょうか。
できないという理解もあったかなと思ったのですが、実務的にはどうなのでしょうか?
この条文からすると認められそうなのですが。
>この場合、D、E、Fは共同で株式を相続することになると思いますが、Dが後継者なので、
>Dに株主として議決権を行使させたいと考えています。
>会社法106条ただし書きで、会社から認めれば、Dは単独で議決権を行使することは可能で
>しょうか。
>できないという理解もあったかなと思ったのですが、実務的にはどうなのでしょうか?
会社が認めたとしても、共有者であるD、E、Fのうち、過半数の同意がなければ、Dが単独で議決権を行使することはできません。
2 回答の理由
D、E、Fが株式を共同で相続した場合、法律上は、3人が相続した株式を共有(正確には「準共有」といいます。)している状態になります。
会社法106条本文では、株式を複数人で共有している場合、共有者である株主らは、権利行使する株主を1人決めて、会社に通知しなければならないと定めています。
そして、ご質問にある会社法106条ただし書の同意を会社がした場合、このような手続きをとらずに、株主の1人が単独で共有株式全てについて議決権を行使することができるか否かについて、学説は分かれていましたが、最高裁平成27年2月19日により、明確な判断が示されました。
その内容は、
①会社が、会社法106条ただし書に定める同意をした場合でも、株主1人がした議決権の行使が当然に適法になるわけではない。
②議決権の行使が適法になるためには、民法に定める共有の規定に従って権利を行使する必要がある。
③議決権の行使は、特段の事情がない限り、共有物の管理行為にあたり、各共有者の共有持分の価格にしたがって、その過半数の同意が必要である(民法252条本文)。
端的にいうと、この判例は、会社法106条ただし書は、民法の共有についての原則までも修正する効力はないとしたということです。
この判例からすると、ご質問のケースでも、共有している株式についての議決権を単独で行使する場合には、共有者の持分の過半数の同意が必要になります。
Dの持分割合は3分の1ですので、Dが単独で権利行使をすることはできません。
全ての株式をDが単独で権利行使するためには、Dともう1人(EまたはF)がDの議決権行使に同意することが必要です。
(Dともう1人が同意すれば、3分の2の同意が得られ、③にしたがって、Dが単独ですべての議決権を行使することが可能になります。)
よろしくお願い申し上げます。