(前提事項)
母親が亡くなり、相続人の相談者とその姉で遺産分割の協議をしています。
財産としては、土地・建物(それぞれ姉と共有になっています。)、現金、預金があります。
生前母親と姉が同居しており、預金関係は姉がすべて管理していたようで、現在の残高は300万円程度とのことです(残高証明書を姉が出してきています。)。
4年ほど前に、父親が亡くなり、その時に1000万円程度を母親が相続で受け取っているにもかかわらず、残高が少なく、姉が使い込んでいた可能性もあると疑っています。
通帳はなくなってしまったとのことで、今までのお金の流れがわからない状態です。
銀行に履歴を出すように求めましたが、相続人全員の同意がないと出せないと拒否されました。
(質問)
相談者が今までの取引状況を入手する方法はありますでしょうか。
先生にお願いすれば、履歴を出してもらうことはできるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
>相談者が今までの取引状況を入手する方法はありますでしょうか。
>先生にお願いすれば、履歴を出してもらうことはできるのでしょうか。
※預金口座が解約されていないという前提で回答します。
判例上、銀行は取引履歴の開示に応じなければならないこととされていますので、このことを銀行に伝えて、再度開示請求に応じるよう求めるのがよいでしょう。
もちろん、ご依頼いただければ、弁護士から銀行に開示の請求をしたり、弁護士会照会をすることで、銀行から取引履歴の開示を受けることができます。
2 回答の理由
最高裁の判例(最高裁判決平成21年1月22日)で、銀行は、相続人からの取引履歴の開示に応じる義務があるものとされています。
以前は、相続人全員の同意がないと、開示をしないという扱いにしていた銀行が多かったようですが、判決を受けて、ほとんどの銀行が開示請求に応じる扱いにかわっています。
一部の銀行が運用をかえていなかったり、担当者レベルの判断で、開示に応じなかったりする場合があるのかもしれません。
もっとも、これは、判例に反する運用であるので、訴訟までいったら間違いなく開示が認められるのだということを伝え、再度開示を求められるのがよいでしょう。
それでも応じない場合は、ご依頼いただければ、弁護士が代理人として開示請求をすることもできます。
弁護士が出てくれば、銀行の態度もかわる可能性が高いです。
また、弁護士から、弁護士会照会という制度を使って銀行に照会をかけることで、取引履歴の開示をしてくる可能性もあります。
まずは、上記の判例があり、開示義務があることを伝えて、再度開示請求をされるのがよいと思います。
それでも、開示に応じない場合、こちらで対応することもできますので、またご相談ください。
よろしくお願い申し上げます。