民法 知的財産法 その他

市販品を自社ブランドとして販売することに関して

下記の件、ご教示下さい。

楽天等で販売されている市販品を自社ブランドとして販売するのが可能か

具体的には下記の商品の販売を検討されております。

カッサプレートを箱(もしくはカッサプレートに)に自社ブランドのシールをつけて
販売することは可能でしょうか?

購入品は下記になります。
http://item.rakuten.co.jp/value-0512/kassa002/

本体、箱共にブランド名などの記載はありません。

商品は変わりますが、同様の質問で、下記に示した6ペンスコインを再販するのは可
能でしょうか?
ラッピングを変更し、自社ブランドのシールをつけて販売することを検討していま
す。

商品は下記になります。
http://item.rakuten.co.jp/may-fairy/10000918/

また、市販品を自社ブランドとして販売するのが可能な場合、何か気を付けた方が良
い事が法律上あれば教えていただきたいです。
警察に問い合わせしたところ、紙幣として使用されていない古銭の場合は古物商の資
格は不要と言われたのですが、
今回のケースでも古物商の取得は行わなくて問題ないのでしょうか?

質問は以上になります。
どうぞよろしくお願い致します。

1 ご質問①について
(1)ご質問①
>カッサプレートを箱(もしくはカッサプレートに)に自社ブランドのシールをつけて
>販売することは可能でしょうか?

(2)ご質問①に対する回答の結論
 法律上、明確に違法と断定はできませんが、民事上、不法行為となる可能性がありますので、あまりおすすめできません。

(3)ご質問①に対する回答の理由
●意匠法における規制

 特許庁に申請することで、商品の形状のデザインなどを意匠として、登録できることになっています。
そして、他社が登録した商品(デザイン)を自社ブランドとして販売すると、意匠権の侵害となります。

 仮に、カッサプレートの製造元の業者が、カッサプレートのデザインを意匠として登録していた場合、これを、自社ブランドとして販売すると、意匠権の侵害となってしまいます。
ですので、カッサプレートが意匠として登録がなされていないか確認をする必要があります。

 なお、意匠について簡易検索をさせていただきましたが、当商品自体の日本での登録はないようでした(ただし、このようなケースではいつ意匠が取得されてもおかしくないという状況ですので常に注意が必要です。)。

●不正競争防止法における規制
不正競争防止法2条1項3号では、いわゆる、模倣品の販売が禁止されています。

【不正競争防止法2条1項3号】
他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為

ニセブランド品の製造・販売などが、典型例です。

 今回の場合、商品自体をこちらで製造するわけではなく、販売されているものを、自社ブランドのシールをつけて再販売するのみですので、不正競争防止法2条1項3号にいう「模倣した」に該当するかは微妙なところです。また、この点について判断した裁判例はありません。
 おそらく直接この規定に反しているという判断はされないと思われます。

 ただし、この規定に反しないとしても、他社商品を自社ブランドとして販売することは、開発した他社の利益を侵害するおそれがあるので、この規定の趣旨に反しているということで、民事上の不法行為と判断される可能性もあると考えられます。

●契約による制約
 利用規約等で、購入後の物品の扱いについて制限がなされている場合(商品の表示等を加工して転売することを禁じるなど)、自社ブランドのシールをつけて販売することが、契約違反になる可能性があります。

 このような定めがないかよくご確認ください。

 また、小売を前提としての契約である(黙示の合意がある)として、契約違反になる可能性もないではありません。

●まとめ
 このように、明確に法律に違反するとまで断定はできませんが、紛争になった場合に、民事上の違法と判断される可能性がありますので、あまりおすすめはできません。

2 ご質問②について
(1)ご質問②
>商品は変わりますが、同様の質問で、下記に示した6ペンスコインを再販するのは可能でしょうか?
>ラッピングを変更し、自社ブランドのシールをつけて販売することを検討しています。

(2)ご質問②に対する回答
 6ペンスコインは硬貨なので、カッサプレートと異なり、意匠登録がされることは考え難いです。
また、他社の製造した商品に対する権利を保護するという趣旨の不正競争防止法2条1項3号の対象にはならないと考えられます。

ですので、利用規約等で禁止されていなければ、ラッピングを変更し、自社ブランドのシールをつけて販売することも可能であると考えられます。

3 ご質問③について
(1)ご質問③
>また、市販品を自社ブランドとして販売するのが可能な場合、何か気を付けた方が良
>い事が法律上あれば教えていただきたいです。
>警察に問い合わせしたところ、紙幣として使用されていない古銭の場合は古物商の資
>格は不要と言われたのですが、
>今回のケースでも古物商の取得は行わなくて問題ないのでしょうか?

 古物営業法の規定からすると微妙な部分ではありますが、警察の回答の通り、現実の運用として、古銭の販売には古物商の許可は不要と扱われています。これまでも特に問題となった事例もありません。

 今回は、現実的には、古物商の許可は不要でしょう。ただし、それほど労力がかかることでもありませんので、安心を買うために許可を得ておくという考えもありだと思われます。