当初はXが個人事業で使用する固定資産(造作)をA社が購入し、A社がXに対
してリースを行うことを想定していたため、まずA社が取引業者(B社)から固
定資産を購入し、代金をB社へ支払いました(A社はB社発行の領収書も受領済
み)。
その後、A社がXへ固定資産の請負代金に相当する貸付けを行い、Xが固定資産
を購入する方がいいだろうということになり、既にA社が購入した固定資産をど
うやってXの所有にすれば良いかということが課題となっています。
B社も協力してくれるという前提で、どのような手続きを行えば、現在A社が所
有している固定資産の所有者をXへ変更することが可能でしょうか?
なお、A社とB社との間での請負解約を解除し、B社がA社へ返金を行った後、
XとB社との間で再度請負契約を締結し、XがB社へ代金を支払うということは
煩雑なので避けたいと考えています。
A社とXとの間で当該固定資産の売買契約を締結して、XがA社へ代金を支払う
以外に、取り得る方法があれば、ご教示いただけると助かります。
初歩的な質問で大変恐縮ですが、どうぞ宜しくお願い致します。
>B社も協力してくれるという前提で、どのような手続きを行えば、現在A社が所
>有している固定資産の所有者をXへ変更することが可能でしょうか?
A社・B社・Xの間で、以下のような内容の契約をしておけばよいと考えます。
・A社がB社に造作の作製を依頼
・造作の完成とともに、所有権はXに帰属する
・請負代金は、A社がB社に支払う
・A社がB社に支払った代金相当額を、XがA社に対して平成●年●月●日までに返済する(分割での返済の場合にはその旨)
2 回答の理由
現状で、事実としてあるのは、
①請負代金をA社がB社に支払ったこと
②B社が、造作の工事を行い、造作が完成したこと
のみです。
ご質問の趣旨が、「造作をXの所有とし、A社がB社に支払った請負代金相当額をA社からXへの貸付けという扱いにしたい」ということであれば、現状で事実としてある①②を、その趣旨にあてはまるような契約にすればよいものと考えます。
B社の協力が得られる前提であれば、以下のような契約を3者間で締結しておけば、ご質問の趣旨は達成できるものと考えます。
・A社がB社に造作の作製を依頼
・造作の完成とともに、所有権はXに帰属する
・請負代金は、A社がB社に支払う
・A社がB社に支払った代金相当額を、XがA社に対して平成●年●月●日までに返済する(分割での返済の場合にはその旨)
このような合意をすることで、法律的には、当初のA社・B社間の請負契約を合意解除して、新たな契約を締結したものと捉えられるでしょう。
上記の回答で、ご質問の趣旨に応えられていない場合には、追加でご質問をいただければと思います。
よろしくお願い申し上げます。
A社とB社間での請負契約はそのままで、アドバイスいただいた三者間契約を締結する場合、三者間契約の締結日は固定資産引渡し後でも特に問題はないと考えて宜しいでしょうか?
三者間契約の締結日が固定資産引渡し後だと、固定資産の所有権はいったんA社に帰属してしまうような気がします。
三者間契約の締結が引き渡し後でも、当初の請負契約は合意解除され、固定資産の所有権は初めからXに帰属すると解釈しても問題ないか、ご回答いただければ幸いです。
どうぞ宜しくお願い致します。
>三者間契約の締結が引き渡し後でも、当初の請負契約は合意解除され、固定資産の所有権は初めからX
>に帰属すると解釈しても問題ないか、ご回答いただければ幸いです。
2 回答
契約の効力は、特約がなければ、契約締結日から生じるのが原則です。
ですので、契約締結日を契約書作成日とすると、作成日に効力が生じることになります。
その場合、当初の契約により、所有権はいったんA社に帰属し、その後、新たな契約の効力にしたがい、Xに帰属した(移転した)ことになります。
契約は書面にしなければ成立しないわけではないので、契約書の作成前に、口頭ベースで(書面に残らない形で)契約自体は成立していたという場合もありえます。
そのようなケースで契約書を作成する場合、契約締結日を契約書作成日とし、契約の効力発生日を口頭ベースで合意があった日にさかのぼらせる(または、契約書の作成日自体をバックデートさせる)という処理がなされることもあります。
本件でも、当初からそのような合意がなされていたといえるのであれば、そのような処理も可能です。
しかし、当初はA社・B社間の請負契約であったという前提に立つと、厳密に法律から考えるとそのような処理は適切ではありません。
原則通り、契約締結日から効力が生じるものとし、所有権は、当初の契約にしたがい、いったんA社に帰属し、新たな契約により、Xに帰属した(移転した)と解釈するのが適切です。
なお、あくまで法律「実務」上の話ですが、三者間に争いがなく、契約時期に大きな違いがなければ、当初からそのような契約であったとして、契約書を作成されることはままあることです。
よろしくお願い申し上げます。
よくわかりました。
三者間契約を引き渡し後に締結する(つまり、バックデートさせない)のであれば、三者間契約の効果はA社とX間での固定資産売買契約の効果と同じということですよね?
念のため、ご確認いただければ幸いです。
どうぞ宜しくお願い致します。
>はA社とX間での固定資産売買契約の効果と同じということですよね?
はい。●●先生ご指摘のとおりです。