業務の性質上、土曜日に社員が数人必要になるので、ローテーションで何人かに土曜日出勤してもらい、翌週のどこか1日を代休に指定して休ませるという運用をしています。
このような運用は、就業規則に基づいたものです。
最近、社員の1人が、土曜の出勤は休日出勤になるので休日手当を支払ってほしいと要望してきました。
この場合、休日手当てを支払う必要はありますか。
支払う必要があるとしたら、いくら支払わなければならないという基準はあるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
>この場合、休日手当てを支払う必要はありますか。
>支払う必要があるとしたら、いくら支払わなければならないという基準はあるのでしょうか。
休日手当(休日働いた分の割増賃金)を支払う必要はありません。
ただし、社員が土曜日出勤することで、その週の労働時間が40時間を超える場合には、40時間を超えた部分について、通常の賃金の0.25倍の残業手当を支払う必要があります。
なお、最後に実例をのせた解説もありますので、ご参考にしていただければ幸いです。
2 回答の理由
(1)休日手当の支払い
労働基準法37条1項によれば、休日に労働した場合には、通常の賃金の1.35倍の賃金を支払わなければならないとされています。
この「休日に労働した場合」というのは、就業規則で定められた休日ではなく、法律上定められた休日に労働した場合を意味しています。
そして、法律上は、1週間のうちの1日(曜日は問いません)を休日とすることが定められています。
ご質問のケースでは、就業規則上は、土日が休日とされていますが、法律上は、月曜日から日曜日のいずれか1日を休日とすればよいことになっています。
土曜日に出勤したとしても、日曜日は休日になっていますので、法律上与えるべき休日は与えていることになります。
ですので、土曜日の出勤は、1.35倍の賃金を支払わないといけない休日労働には該当せず、休日手当の支払義務はありません。
(2)残業代の支払い
労働基準法37条1項により、週40時間以上労働した場合、40時間を超えた部分については、通常の1.25倍の賃金を支払わなければならないとされています(いわゆる「残業代」と言われるものです。)
今回、土曜日も出勤してもらうとなると、労働時間が週40時間を超えることになるかと思われます(月曜日から金曜日まで1日8時間働いていた場合、土曜日も8時間働くと、週48時間の労働になります。)。
ですので、週40時間を超えた分については、通常の賃金の1.25倍の賃金を支払うことになります。
ただし、今回の場合、翌週に代休を与えていますので、実務上は、代休日に休んだ分と相殺して、0.25倍の賃金を支払うのが通例です。
(3)実例
上記の説明では、少しわかりにくい部分もあるかと思いますので、実例を挙げてご説明します。
【前提】
・労働時間は1日8時間
・通常、月曜日から金曜日まで出勤
・賃金は、時給換算で2,000円
土曜日も出勤した場合には、以下の計算で残業代を支払うことになります。
週6日働くことになりますので、1週間の労働時間は
8時間×6日=48時間
そのうち、40時間を超えた8時間分が残業代の対象となります。
支払うべき残業代の金額は
8時間×2,000円×1.25=20,000円
ただし、翌週に代休を取得させていますので、
本来働くべきであった代休の日の8時間分の給与の金額
2000円×8時間=16,000円
を、上記の20,000円から差し引く(相殺する)という扱いをします。
よって、この場合、会社が支払わないといけないのは
20,000円-16,000円=4,000円(2,000円×0.25×8時間)
となります。
よろしくお願い申し上げます。