・A社は上場会社B社の100%子会社です。
・B社は株主総会にあたりA社の役員報酬を総額ではなく個々人ごとに金額を指定しています。
(問題)
http://profile.ne.jp/w/c-66563/
これをみますと個々の金額まで指定する必要はなく総額で良い、となっています。
ということは本来は個々に金額を指定する、ということでしょうか?
A社はB社に個々の金額まで指定されたくない方向です。
これを指定した合計総額で決議してその総額で役員同士で分配する、というふうにA社はB社に押し返す方法はありますでしょうか?
よろしくお願いいたします。
>本来は個々に金額を指定する、ということでしょうか?
>A社はB社に個々の金額まで指定されたくない方向です。
>これを指定した合計総額で決議してその総額で役員同士で分配する、というふうにA社はB社に押し返す方法はありますでしょうか?
B社と交渉の上、B社が個々人の取締役の報酬額を株主総会決議で定める(B社が個々の金額を指定する)というスタンスを崩さないのであれば、最終的にはこれに従わざるを得ないものと考えられます。
2 回答の理由
(1)取締役の報酬額の決定に関する規制
定款に定めがある場合を除き、取締役の報酬額は株主総会において決定しなければならないとされています(会社法361条1項)。
ただし、判例上は、取締役が複数人いる場合、その報酬額の総額のみを株主総会で定めて、個々の取締役の報酬額は取締役会の決定に委ねるということも認められています(最高裁判所昭和60年3月26日)。
実際、多くの会社では、後者の方法をとっているところが多いものと思われます。
(2)本件での問題点
取締役の報酬額(または、報酬総額を定め個々の取締役の報酬の決定は、取締役会に委ねる旨)を定める決議には、株主総会に出席した株主の過半数の賛成が必要です(会社法309条1項)。
今回のケースでは、B社がA社の100パーセントの株式を有していますので、B社が賛成すれば決議ができますし、反対すれば決議はできません。
結局、A社はB社の意向に従わざるを得ない状況にあります。
B社の意向がどれほど強固なものかはわかりませんが、A社の意向を伝え、B社を説得するほかないものと考えられます。
実情として、株主総会で取締役の報酬総額を定めて、個々の報酬額については取締役会で決めるのが主流であることなども、説得の材料として使えるものと考えられます。
よろしくお願い申し上げます。