その他

取引停止の通知を受けた場合の対応

【前提】

通信販売の会社A社(顧問先)
A社は、化粧品Xを取り扱っている。

化粧品Xの製造元B社
化粧品Xの卸売店C社

B社→C社→A社→顧客の流れで化粧品Xを販売している。

A社がC社から化粧品Xの仕入れを始めたのは2年前ぐらいから。

最近、C社からA社に取引を停止するという連絡がありました。
その理由は、C社の話では、B社からC社に対して、A社が化粧品Xを安く販売しているためA社に販売するのをやめるよう要請があった。A社への販売をやめない場合、C社との取引を停止するとも言われた。C社としては、A社に販売したいが、B社との取引停止のリスクがあるため従わざるを得ないということでした。

【質問】

B社のこのような対応は法律に違反しているということはないでしょうか。
実際にするかどうかは別として、法律的に
とれる手立てがあれば、知っておきたいです。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

1 ご質問および回答の結論

>B社のこのような対応は法律に違反しているということはないでしょうか。

 B社の行為は、独占禁止法2条9項6号・一般指定2項に違反している可能性が高いです。

>実際にするかどうかは別として、法律的にとれる手立てがあれば、知っておきたいです。

 まずは、公正取引委員会にB社のことを相談し、B社に対して行政指導を求めることが考えられます。
 B社に対しては、独占禁止法に違反する疑いがあるので、C社に対しA社への販売停止の要請をやめるよう交渉するということになると思われます。

 また、少し質問の趣旨とはそれますが、C社に対し、契約に基づく化粧品X引き渡し又は契約の違反を理由として損害賠償を請求することも考えられるところです。

2 回答の理由
(1)独占禁止法の規定
 独占禁止法は、自由な価格競争を保護することを目的としており、価格競争を阻害することになるさまざまな行為を禁止しています。

 禁止される行為の1つに、メーカーが卸売業者に対し、小売業者が安売りを行っていることを理由に、当該小売業者への商品の販売をしないよう強制する行為があります(法律上は、「間接取引拒絶」と言われています。独占禁止法2条9項6号、一般指定2項)。
 このような行為が禁止されているのは、安売りを行うことは価格競争を活発化させるものであり、安売りをする業者に商品を供給しないよう強制する行為は、価格競争を阻害することになるからです。

(2)B社の行為の違法性
C社の話では
>B社からC社に対して、A社が化粧品Xを安く販売しているため
>A社に販売するのをやめるよう要請があった。

 とのことですので、これを前提とすると、B社の目的は、A社の安売りをやめさせることにあるものと思われます。

 そして、B社は、C社がA社への販売をやめなければ、C社との取引を停止するとも言っているとのことですので、B社がC社に対して、販売停止をちらつかせて、C社からA社への販売停止を強制していることになります。

 B社の行為は、C社に対し、A社が安売りを行うことを理由に、A社に対して商品を供給しないよう強制するものであり、「間接取引拒絶」として、独占禁止法に違反する可能性が高いです。

(3)とりうる方法
 独占禁止法は取締規定(国が事業者を取り締まるための規定)なので、違反したからといって、A社がB社に対して法的な請求をすることができるものではありません。

 ですので、まずは、公正取引委員会(独占禁止法違反の取り締まりをしている行政組織)にB社のことを相談し、B社に対して行政指導を求めることが考えられます。
 事案の重大性にもよりますが、公正取引委員会が悪質と判断すれば、B社に対して行政指導等を行うこともあり得ます。

 また、B社に対しては、独占禁止法に違反する疑いがあるので、C社に対してA社への販売停止を強制することをやめるよう交渉することが考えられます。その際には、公正取引委員会に相談していることも伝え、プレッシャーをかけることも有効でしょう。

 また、少しご質問の趣旨からははずれますが、A社とC社との間には商品を継続的に供給するという契約がなされているものと思われます。
 契約の内容等にもよりますが、C社に対し、契約に基づく化粧品Xの引き渡し又は契約の違反を理由として損害賠償を請求することも考えられます。

 今回の場合で、実際に対応するとした場合には、専門家が携った方が良いと思われますので、下記の無料相談も是非、ご利用下さい。

よろしくお願い申し上げます。