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会社法361①
取締役の~報酬等~についての次に掲げる事項は、
定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議に
よって定める。
一 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
二 報酬等のうち額が確定していないものについては、その
具体的な算定方法
三 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容
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この3号ですが、具体的な内容とはどこまでを意味するの
でしょうか?
資産の種類だけでいいのか、決議日の時価まで明記する
必要があるのか、そのどちらになりますか。
税務調査対応を考えますと、金額はあまり書きたくありません。
例えば、決議日と支給日にずれがあり、支給日の方の時価が
大きくなると、会社で決議した以上の金額を支給していることから、
過大部分があるとして経費にならない、などと調査官から指摘
される可能性があると考えています。
よろしくお願いいたします。
>この3号ですが、具体的な内容とはどこまでを意味するの
>でしょうか?
>資産の種類だけでいいのか、決議日の時価まで明記する
>必要があるのか、そのどちらになりますか。
まず、一般的には、
基本的に、資産の種類のみではなく、資産の評価額(相当額がいくらか)を記載することが必要であるが、決議時に金銭評価が困難な資産の場合、評価額を記載する必要はなく、資産の内容をできるだけ特定することで足りる
と書籍(会社法コンメンタール等)には簡単に触れられている程度です。
現実的にこの部分は、会社法上、裁判で問題になることがほとんどないという実情があり、この点に関する裁判例等は複数の判例検索システム等で検索しましたが、発見できませんでした。
現実的に裁判になった場合に、裁判所が、資産の評価額を記載していないことを理由に、株主総会が無効と判断するかについては、他の取締役等の報酬に関する裁判例や条文の趣旨(取締役のお手盛り防止)からして、「報酬等のうち金銭でないもの」が具体的に特定されていれば、取締役の恣意が入る余地は乏しいことから、無効とまでいわないと考えられます。
なお、より安全を期するということですと、
上記の条文の趣旨から、【評価額○○○〜○○○万円程度 又は
上限○○○万円】という程度の記載があれば、株主がどの程度の価値の資産を報酬とするかという点について、最高額を認識した上で承認しているので、会社法上、株主総会決議が無効となるというリスクはまずないです。
そのように考えると財産の価値について、将来の時価が大きくなる場合も想定して、幅のある記載又は上限額の記載をしておくということで、対応すれば
>会社で決議した以上の金額を支給していることから、
>過大部分があるとして経費にならない、
という意味でのリスクは一定程度回避できると考えられます。
よろしくお願い申し上げます。