・被相続人甲
・相続人:妻乙、実子A、既に死亡した実子Bの子C
・甲と乙は、孫Cを養子にしていた。
以上の状況で甲に相続が開始した場合には、それぞれの相続分は
次のようになると思いますが、この考え方は、Cが甲乙の養子に
なった日が、Bの死亡の前であっても後であっても同じと考えて
宜しいでしょうか?
妻乙:1/2
子A:1/2×1/3=1/6
孫C:1/2×1/3=1/6(養子分)と1/2×1/3=1/6(代襲相続分)
宜しくお願いいたします。
>以上の状況で甲に相続が開始した場合には、それぞれの相続分は
>次のようになると思いますが、この考え方は、Cが甲乙の養子に
>なった日が、Bの死亡の前であっても後であっても同じと考えて
>宜しいでしょうか?
>妻乙:1/2
>子A:1/2×1/3=1/6
>孫C:1/2×1/3=1/6(養子分)と1/2×1/3=1/6(代襲相続分)
はい。①「普通養子縁組」の場合、この法定相続分になり、Cが甲乙の養子になった日が、Bの死亡の前であっても後であっても同じです。
なお、蛇足ですが、
ご質問の「養子」が②「特別養子縁組」の場合には、
相続分は、
妻乙:1/2
子A:1/2×1/2=1/4
孫C:1/2×1/2=1/4(養子分)
※Bには、Cの他に子がいないという前提です。
※Cが甲乙の養子になった日が、Bの死亡の前であっても後であっても同じです。
となります。
2 回答の理由
(1)①「普通養子縁組」である場合
ア Cの代襲相続権
Bが死亡していますので、その子であるCは代襲相続をすることができます(民法887条2項)
Cの代襲相続人としての相続分は、Bの相続分と同一ですので(民法901条1項)1/2×1/3=1/6です。
普通養子縁組の場合、養子となったことにより、もとの親であるBの子であるという地位がなくなるわけではありません。
ですので、Cが養子となるのが、Bの死亡前でも、後でも、関係なく、Bの子であるCが代襲相続権を取得することができます。
イ 養子としての相続権
養子は「縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する」(民法809条)とされていますので、Cは、甲との養子縁組の日から、甲の子としての相続権を取得します。
ですので、Cは、甲の子としての相続分も有することになり、その相続分は
1/2×1/3=1/6です。
ウ 相続人の地位が重複する場合の扱い
代襲相続人の相続権と養子の地位に基づく相続権の2つが重複する場合について、色々とおっしゃる学者の先生もいらっしゃいますが、
民法は、それぞれの身分関係に基づいて相続資格を与えるという建前をとっていますので、たまたま相続資格が重複したとしても、一方の資格を否定しなければならない根拠は乏しい。
実務上は、戸籍に関する法務省の通達(昭和26年9月18日民事甲第1881号民事局長回答)に従い、どちらの相続権も主張できるということになっています。
ですので、Cには、代襲相続人と養子の地位に基づく相続分の両方があるといえます。
(2)②「特別養子縁組」である場合
特別養子縁組とは、養子となる子が6歳まで(一定の場合に例外はあります)の場合にかぎり、子の福祉のため特に必要があるときに、家庭裁判所の審判により認められる、特別な制度です。
普通養子縁組との大きな違いは、もとの父母、その他親族との親族関係が終了するという点です(民法817条の2第1項)。
ですので、特別養子縁組をした場合には、その時点でCはBの子ではなくなってしまい、Cには代襲相続権は生じません。
Cには、甲の養子としての相続権しかないことになります。
この場合の相続分の割合ですが、相続人が、妻乙、子A、養子Cのみとすると(※Bは死亡しており、Bを代襲相続する人がいないことを前提とします。)、
妻乙:1/2
子A:1/2×1/2=1/4
孫C:1/2×1/2=1/4(養子分)
となります。
よろしくお願い申し上げます。