相続 民法 相続税

養子縁組のデメリット

単純な質問ですみませんがデメリットについてご教示ください。

前提

80代男性Aさん

Aさんの状況:配偶者無し、子無し、兄一人、妹一人

AさんがBさんと他二人を養子にしようとしている。

Bさんの状況:女性、配偶者有り、実子有り。

質問

Bさんは養子になると何かデメリットがないか迷っています。

名字が変わってしまわないか、子供に何らかの影響がないか、

養子縁組の解消をしたらどうなるのか、できるのか、Aさんが亡くなったらどうなるのか等

です。

漠然とした質問で申し訳ありませんがご回答いただければ助かります。

宜しくお願い致します。

1 ご質問

>Bさんは養子になると何かデメリットがないか迷っています。
>名字が変わってしまわないか、子供に何らかの影響がないか、
>養子縁組の解消をしたらどうなるのか、できるのか、Aさんが亡くなったらどうなるのか等
>です。

2 回答(条文は全て民法です。)
 まず、ご質問内の事項について回答します。

(1)①名字が変わってしまわないか
 ここは、Bさんが結婚時に夫の名字に改姓しているか否かで結論が異なります。

・Bさんが夫の名字に改姓している場合
 →養子になったとしてもBさんの名字は変わりません(810条但書き)。

・夫がBさんの名字に改姓している場合
 →養子になると、Bさん及び夫の名字が変わってしまいます(810条本文、750条)。

 結婚時には妻が夫の名字にするのが一般的ですので、おそらくBさんは前者の場合に当てはまるのではないかと思います。そうであれば、Bさんの名字は変わりません。
 ただし、戸籍上、養子縁組したことが記載はされます(法律上の不利益はありません。)。

(2)②子供に何らかの影響がないか
 法律的には、特に影響はなく、名字の変更もありません。
 ただし、Bさんと夫の名字が変わってしまう場合には、子供も名字を変えざるを得ない場合もある(子供が幼い場合等)でしょうから、この場合には影響があると言えます。

(3)③養子縁組の解消(離縁)ができるか
 Aさん、Bさんともに養子縁組を解消(離縁)することに合意すれば、いつでも自由に行うことができます。
 しかし、Aさんが離縁に応じない場合には、Bさんは調停・裁判で離縁を求めることになります。
 裁判で離縁が認められるには、一定の要件を満たす必要があり(814条1項)、裁判での離縁はそう簡単ではありませんので、注意が必要です。

(4)④養子縁組の解消をしたらどうなるか(離縁の効果)
 前提として、養子縁組をすると、BさんとAさんの間に法律上の親子関係が生じる、BさんとAさんの兄妹との間で法律上の親族関係が生じるという効果があります。
 そして、養子縁組を解消すると、これらの関係が解消されます。
 養子縁組によりBさんの名字が変わっていた場合には、もとに戻ります(816条1項本文)。

(5)⑤Aさんが亡くなったらどうなるか
 Aさんが亡くなっても、BさんとAさんの兄妹との親族関係は当然には解消されません。また、Bさんの名字が変わっていた場合、名字は当然には元に戻りません。
 この場合、死後離縁という制度が設けられており、家庭裁判所の許可を得て離縁することができます(811条6項)。そうすれば、親族関係は解消され、名字も元に戻ります。

 ご質問事項内以外のデメリット

(6)⑥その他のデメリット
 これは、養子縁組(子になる)をする以上、当然の前提でご質問の趣旨とはズレるかもしれませんが、親子関係に基づく扶養義務が生じる(877条1項)ことが挙げられます。
 理論的には、AさんはBさんに対して、扶養(生活費の援助等)を求めることが可能になる場合があります。
 Aさんの財産状況、他に養子となる2名とAさんとの関係性、Aさんと兄弟との関係性を考慮して、今後Aさんの生活にどのような援助が必要になってくるのかと税務上のメリットを比較の上、縁組みをするかしないかを決定した方が良いかと思います。
 ただし、実際上扶養請求をされるケースは少ないと思われます。

 よろしくお願い申し上げます。