これは公正証書にしておいた方がいいでしょうか。公正証書にするには費用も手間もかかるのでどうするか迷っているのですが、普通に念書という形でも問題ないでしょうか。
よろしくお願いいたします。
>支払いの滞りがある貸付先に対して、新たに支払い方法の約束をする場合、
>公正証書にしておいた方がいいでしょうか。公正証書にするには費用も手間もかかるのでどうするか迷っているのです
>が、普通に念書という形でも問題ないでしょうか。
2 回答
(1)結論
ご質問のケースでは、公正証書にしておくことを強くおすすめします。
(2)理由
① 公正証書にするメリット
残りの債務を分割で支払うことを公正証書で定めておけば、支払いが滞った場合に、裁判等をしなくても、公正証書に基づき相手の財産(不動産・預金・売掛債権など)に強制執行することが可能になります。これが、公正証書にすることの最大のメリットです。
また、公正証書にしておくことで、支払いが滞ったら強制執行をされるかもしれないというプレッシャーを相手に与えることができ、任意の弁済を促す効果も期待できます。
※ただし、公正証書に執行認諾約款(弁済が滞った場合に、相手が強制執行を受けることについて異議を唱えない旨の記載)を入れておかないと強制執行ができませんので、ご注意下さい。
一方、公正証書ではないただの念書の場合、強制執行するには裁判で判決等を得る必要があり、回収に手間がかかります。
② 公正証書にするデメリット(費用と手間がかかること)
ア 費用
公正証書作成の手数料は、貸し付けの金額により異なりますが、貸付額が500万円の場合には、1万1000円+公正証書の枚数×250円です。
それほど高いものではありません。
イ 作成手続き
・事前準備
まずは、相手とどのような内容(金額、利息、返済条件等)にするかを協議し、公正証書の文案を準備します。
そして、文案の内容を公証人(公正証書を作成する方)に電話やファックスで伝えます。場合によっては、公証役場に行って、公証人と直接話をすることが必要になる場合もあります。
これらの情報をもとに、公証人が公正証書を作成します。
・作成当日
作成当日、公証役場に行き、こちらと相手方が公証人の作成した公正証書に署名・押印して完成です。
このように、事前に公証人とのやりとりを行わなければならず、作成当日は公証役場に行く必要がある点で、念書を作成する場合と比べると手続きは煩雑です。
③ まとめ
ご質問のケースでは、現在も支払いが滞っており、今後も約束通り支払われない可能性があるものと思われますので、費用と手間をかけてでも公正証書を作成しておくメリットは大きいと考えます。
金額も少額とはいえないので、揉めると裁判をしなければならなくなる可能性が高いです。そのコストを考えると上記の費用や手間もありますが、公正証書を作っておく方が断然良いです。
また、相手も、念書を作ること自体を承諾しているのであれば、公正証書の作成に応じてくれる可能性が高いと思われます。