不動産 民法 借地借家法

契約の解除と家賃相当額の支払の受領

建物を貸しており、その契約を解除しました。
その後も、借主が出て行かず、家賃をこれまでと同様口座に振り込んできています。
この場合、家賃は送り返した方がいいのでしょうか。
1 質問
建物を貸しており、その契約を解除しました。
その後も、借主が出て行かず、家賃をこれまでと同様口座に振り込んできています。
この場合、家賃は送り返した方がいいのでしょうか。

2 回答

(1) 結論 
 損害賠償金として受け取っているという証拠を残した上で、受け取れば良いです。

(2) 理由
 賃貸借契約を解除した場合、契約は終了し借主は賃料を支払う義務はなくなりますし、こちらも賃料を受け取る権利はなくなります。
 もっとも、契約解除後も相手が建物をまだ使用しているのであれば、使用する権利がないのに建物を占有しているということになるので、不法行為に基づく損害賠償として賃料と同額を支払う義務が生じます。

 ですので、振り込まれた金銭を、賃料ではなく、不法行為に基づく損害賠償として受け取っておけばよいということになります。

 ただし、後々、借主がそもそも契約の解除が無効で、賃貸借契約は継続していると争ってきた場合に、こちらが賃料を受け取っていたことが、契約の継続を前提とする行動であると指摘される可能性もあります。
 
 その場合に備え、実務では、賃料としてではなく、不法行為に基づく損害賠償(賃料相当損害金)として受け取るということを相手に書面で通知しておくことが多いです。

 証拠とするため内容証明で出しておいた方がよいでしょう。

 なお、相手が解除の無効を主張してきて具体的な紛争になってしまった場合には、また個別にご相談いただければと思います。

横からの関連質問で恐縮ですが、ご教示ください。

不法行為に基づく損害賠償として賃料と同額を支払う義務が生じます。

は、判例などから来る、実務上の慣例のようなものでしょうか?何か法令の根拠条文があるものでしょうか?

1 質問
不法行為に基づく損害賠償として賃料と同額を支払う義務が生じます。

は、判例などから来る、実務上の慣例のようなものでしょうか?何か法令の根拠条文があるものでしょうか?

2 回答

判例などから来る実務上の慣例、というのが近いです。

不法行為に基づく損害賠償の根拠条文は民法709条です。

<民法709条>
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

この条文には、賃料と同額を支払う義務があるとは書かれていませんが、訴訟等になった場合には、賠償すべき「これによって生じた損害」というのが、賃料と同額であると認められることがほとんどです。

直近の賃料の金額が、通常はその建物の利用価値(逆にいえば、貸主が利用できない価値)であり、「損害」であるという経験則が裏にあります。