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名義株式の解消について

永吉先生

前提
・法人Aの代表であるXは、A株式を70%保有
・Xの知人YはA株式を30%保有しているが、Yは単なる名義株主であり実質所有者はX
※経緯は不明ですが、過去XがYに金銭を渡し、Yはその資金でXからA株式を買い取っ
た体になっております。

質問
Xは、名義株式を解消したいとのことで、Y名義の株式をXに戻したいと考えている
のですが、その場合、どのような書類を作成すべきでしょうか。

●●先生

ご質問、ありがとうとございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>質問
>Xは、名義株式を解消したいとのことで、Y名義の株式をXに戻したいと考えている
>のですが、その場合、どのような書類を作成すべきでしょうか。

2 回答

名義株主であるという前提であれば、
末尾のような条項の覚書を締結することが
考えられます。

前提として、名義株主か否かは、

○資金の拠出者は誰か
○管理や運用は誰が行っているか
○配当金などは誰が受領しているか
○議決権の行使状況
○名義貸与者、名義借用者、会社の関係など
○名義貸しの合理的理由の有無

などから判断されます。

民事上は、当事者が名義株主であることの
確認と名義の書換許諾等が取れていれば良いので、
以下の第1条及び第3条があれば良いです。

一方で、税務上は、本当に名義株主であったのか
という点が問題となります(Yの譲渡所得及びXへの
みなし贈与等の問題があります)ので、
名義株主と判断できる事案であれば、
第2条等の経緯を等も証拠として記載しておく
ことをお勧めします(以下の条項は例示です)。

ただ、今回は、
>※経緯は不明ですが、過去XがYに金銭を渡し、Yはその資金でXからA株式を買い取っ
>た体になっております。
とのことで、

発起人が7名以上必要だった
時代の名残で名義株主が残っているケースなどの
ように名義株主の典型的な事例ではないため、

税務上のリスクは残りますので、
税理士の先生としては税務上のリスク説明は
しておいた方が良いでしょう。
(特に今回は、上記の名義貸しの合理的理由が
気になります。)

経緯を把握し、名義株主であるとする
ことが難しそうという事案であれば、
株式譲渡の形を取ることも併せて
検討する必要があります。

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「名義株式確認及び株主名簿変更許諾書」

Y(以下、「甲」という。)、X(以下、「乙」という。)及びA(以下、「丙」という。)は、甲の名義となっている丙の株式
●●株(以下、「本株式」という。)について、以下の事項を確認する。

(確認事項)
第1条 甲と乙は、本株式について、甲がその名義を乙に貸与したのみであり、真実の株主は、乙であることを相互に確認する。

(経緯)
第2条 甲、乙及び丙は、本株式について、以下の事実を確認する。
① 甲は、乙から●●のためにA社の株主の名義人になるよう依頼を受け、名義のみの利用を許諾し、丙の株主であるとの認識はなかったこと
② 乙は、甲の名義を借りたのみであり、甲を丙の株主として認識したことはなく、甲の名義を取得する際の対価も乙が負担したこと
③ 丙は、甲を株主と認識したことはなく、配当金の支払いや議決権の行使を認める等、甲を株主として扱ったことは、一切ないこと

(株主名簿の書換許諾)
第3条 甲及び乙は、丙に対して、本株式について、真実の株主である乙に名義を変
更をすることを許諾し、請求する。

以上を確認したことを証するため、本書面を作成し、甲、乙及び丙それぞれ署名・捺印の上、各1通を保有する。

【以下、締結日付と甲、乙、丙の住所、記名・押印】
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よろしくお願い申し上げます。