いつも大変御世話になっております。
税理士の●●と申します。
譲渡制限株式の譲渡承認手続について、ご教示いただけますと幸いです。
【前提条件】
甲社(譲渡制限株式発行会社)の株主は、A・B・C・D・Eの5名です。
株式所有割合はA30%・B15%・C4%・D30%・E21%です。
甲社は取締役会設置会社で、甲社の役員構成は取締役が3名(A・B・C)、
監査役が1名(F)です。取締役Aが代表取締役です。
甲社が発行する譲渡制限株式の譲渡承認機関は、取締役会です。
親族関係はAとBが夫婦、CはAとBの子です。
D・EはAの兄弟で、Aとの関係は良好ではありません。
A・B・C・D・EとFの間に親族関係はありません。
この度、AとBが所有する甲社株式をCに譲渡することとなりました。
【質問事項】
AとBが所有する甲社株式をCに譲渡する場合、取締役会の議案を
下記の通り二つに分けて譲渡承認を得た上で、甲社株式を譲渡すれば
法的に問題ないでしょうか。
(株式譲渡承認機関を取締役会から株主総会又は代表取締役に変更
することなく、甲社株式を譲渡しても法的に問題にないでしょうか。)
[第1号議案]AからCへの株式譲渡承認の件
AからCへの甲社株式の譲渡については、取締役会の議長をBとし、
Bの承認を得る。
[第2号議案]BからCへの株式譲渡承認の件
BからCへの甲社株式の譲渡については、取締役会の議長をAとし、
Aの承認を得る。
お手数をお掛けしますが、ご回答の程、宜しくお願い申し上げます。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>AとBが所有する甲社株式をCに譲渡する場合、取締役会の議案を
>下記の通り二つに分けて譲渡承認を得た上で、甲社株式を譲渡すれば
>法的に問題ないでしょうか。
>(株式譲渡承認機関を取締役会から株主総会又は代表取締役に変更
>することなく、甲社株式を譲渡しても法的に問題にないでしょうか。)
>[第1号議案]AからCへの株式譲渡承認の件
>AからCへの甲社株式の譲渡については、取締役会の議長をBとし、
>Bの承認を得る。
>[第2号議案]BからCへの株式譲渡承認の件
>BからCへの甲社株式の譲渡については、取締役会の議長をAとし、
>Aの承認を得る。
2 回答
先生のご指摘の通りの対応で問題ありません。
取締役会では、
取締役が譲渡当事者である場合は
当該取締役が特別利害関係人に該当して取締役会の議決に
加わることができない(会社法369条2項)一方で、
定足数は、「議決に加わることのできる」取締役の過半数
とされていますので、各株主譲渡について、
その他1名で決議をすれば、問題ありません。
なお、議事録には、念のためA→Cについては、
「なお、Aが特別利害関係人に該当するため、議長をBが務め、
特別利害関係人であるA及びCは議決に加わっていない。」
B→Cについては、
「なお、特別利害関係人であるB及びCは議決に加わっていない。」
旨記載しておくと良いと思います。
よろしくお願い申し上げます。