いつもご教示いただきまして、誠にありがとうございます。
現在税務調査で指摘されている事項について、ご質問させてください。
≪概要≫
H20年6月 契約者:被相続人 被保険者:被相続人の孫(大学生21歳)
7月 保険料1000万円一時払い
H22年6月 契約者を孫に変更(孫が社会人になった)
孫にとっては、このときに被相続人からもらったという認識あり。
その後、孫の所得税の生命保険料控除を適用していた。
H30年6月 孫、満期保険金受取 ⇒ 贈与税の申告していない
R1年 被相続人死亡
という状況です。相続税法第5条のみなし贈与により、H30年6月保険事故が
発生した時に贈与税の申告をしなければなりませんでしたが、孫はそのことを
知らずに、H22年に贈与してもらったものと思い込んでおります。
私たち税理士からすれば、条文のとおり贈与税の申告漏れで、期限後申告を
する、又は被相続人から保険料を借りたということで貸付金として相続財産に
計上するしか方法はないと考えますが、このような事例でH22年の贈与の契約
変更日を贈与の合意があったとして、覆すことが可能な判例などはございます
でしょうか?
ご教示いただきますようお願い申し上げます。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>≪概要≫
> H20年6月 契約者:被相続人 被保険者:被相続人の孫(大学生21歳)
> 7月 保険料1000万円一時払い
> H22年6月 契約者を孫に変更(孫が社会人になった)
> 孫にとっては、このときに被相続人からもらったという認識あり。
> その後、孫の所得税の生命保険料控除を適用していた。
> H30年6月 孫、満期保険金受取 ⇒ 贈与税の申告していない
> R1年 被相続人死亡
>このような事例でH22年の贈与の契約
>変更日を贈与の合意があったとして、覆すことが可能な判例などはございます
>でしょうか?
2 回答
民事上は、H22.6月時点で、
保険契約上の地位の贈与があったと
解されるところです。
(解約返戻金等をいつでも受け取ることができる地位を
譲り受けるわけですので)
しかし、
個人的には、疑問自体はありますが、
相続税法5条のみなし贈与規定の存在から、
税法上は、そのようには解さず、
保険金の受取り時に贈与とみなす以上、
契約上の地位の贈与は、考慮されない
という見解が、国も含めて支配的です。
このような解釈も理由となって
いないわけではないですが、
みなし贈与規定があるからといって、
本則である通常の贈与契約が贈与税の対象
とならないことについての理論的根拠については、
必ずしも明確ではないです。
ほとんどの書籍などでも、
「そのように解さざるを得ない」というような
抽象的な表現に止まっているように思います。
この点については、覆すことができる裁判例等は
現状、見当たりません。
よろしくお願い申し上げます。