未分類

遺留分侵害額請求時の準確定申告の還付金の取り扱い

永吉先生

いつも大変お世話になっております。
税理士の●●です。

(前提)
二次相続
被相続人:A
相続人 :B(長男)、C(長女)
Aが全財産をCに相続させる旨の自筆遺言を作成して死去。
現在、CはBから自筆遺言無効の訴え及び遺留分侵害額の請求(自筆遺言が有効な場合)を受けています。

(質問)
Aの準確定申告は還付となりますが、当該還付金の受取は全額Cでよいのでしょうか。
その際は委任状(Cが受け取る旨のBの同意)の代わりに遺言書を添付するのでしょうか。
それとも、法定相続分1/2ずつBとCが受け取ることになるのでしょうか。

お手数をお掛けしますが、アドバイスの程、お願い申し上げます。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>被相続人:A
>相続人 :B(長男)、C(長女)
>Aが全財産をCに相続させる旨の自筆遺言を作成して死去。
>現在、CはBから自筆遺言無効の訴え及び遺留分侵害額の請求
>(自筆遺言が有効な場合)を受けています。

>(質問)
>Aの準確定申告は還付となりますが、当該還付金の受取は全額Cでよいのでしょうか。
>その際は委任状(Cが受け取る旨のBの同意)の代わりに遺言書を添付するの
>でしょうか。
>それとも、法定相続分1/2ずつBとCが受け取ることになるのでしょうか。

2 回答

相続開始日が、相続法改正施行後の
2019年7月1日以降であることを前提として
回答します。

準確定申告による還付金請求権は
相続財産となると解されています。

>Aが全財産をCに相続させる旨の自筆遺言を作成して死去。

とのことですので、自筆証書遺言が有効であることを
前提にとすると、Cの相続分が100%であるという指定がなされて
いることとなりますので、受給者はCとなり、

債務者である国は、遺言の通知があれば、
法律上は、Cに還付金を支払わなければならない
ということとなります(民法899条の2)。
ですので、ご指摘の通り、遺言書を添付することとなるでしょう。

現在、遺言の有効性が争いになっている
ということで、有効か無効かについては、
裁判が終結するまでは厳密にはわかりません。

遺言が有効であるという主張をする
Cとしては、有効である前提で、還付金の
支払いを受けるように対応することになる
でしょう。

実務上はあまり想定できませんが、
遺言が無効である可能性があるとして、
国が支払いをしないまたは法定相続分で
支払うという場合には、理論上は、
国を相手に訴訟をして、給付を受ける
(そこで遺言の有効性が争点となる)ということになります。

おそらくその場合でも、実務上は現在の相続人間の
紛争の中で調整することになりそうですが。

なお、遺留分侵害額請求は、BのCに対する
単なる金銭債権となりましたので、国から還付が受けられるか
という論点との関係で問題となることはありません。

よろしくお願い申し上げます。