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準備金、積立金の取り崩し

永吉先生

いつも大変お世話になっております。
表題の件についてご教示頂ければ幸いです。

相談者である法人の「純資産の部」は下記の状態です(単位:千円)

[資本金]
・資本金 70,000

[資本剰余金]
・資本準備金 55,000
・その他資本剰余金 40,000
<資本剰余金合計 95,000>
[利益剰余金]
・利益準備金 12,000
・別途積立金 90,000
・退職積立金 1,000
・繰越利益剰余金 ▲300,000
<利益剰余金合計 ▲197,000>

【純資産合計 ▲32,000】

多額の欠損が生じたため、下記の取り崩し(欠損填補)を行いたいと考えています。
・資本準備金 55,000
・その他資本剰余金 40,000
・利益準備金 12,000
・別途積立金 90,000
・退職積立金 1,000

【質問】
株主総会の承認のみで会計処理をしても良いのでしょうか。
特別な手続(債権者保護手続)が必要になりますか?

以上です。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問と回答の結論

>【質問】
>株主総会の承認のみで会計処理をしても良いのでしょうか。
>特別な手続(債権者保護手続)が必要になりますか?

結論としては、「定時」株主総会の決議によれば、
ご指摘の会計処理が可能な事案と考えられます。

2 回答の理由

ご指定の会計処理をする場合に、
株主総会の決議とは別に債権者保護手続きが
必要となる可能性があるは、法定準備金(資本準備金及び利益準備金)
の取り崩しの部分となります(会社法449条1項)。

法定準備金の減少には原則として、債権者保護手続き
が必要となりますが、以下の2つの要件に該当する場合は
例外的に不要となります(会社法449条1項但書)。

①(臨時株主総会ではなく)「定時」株主総会により準備金減少の決議をすること
②減少させる準備金の額が定時総会の日における欠損の額を超えないこと

いただた純資産の部を拝見したところ、
準備金が欠損の額を超えませので、定時株主総会に
よる場合には、例外的に債権者保護手続きなしで、
取崩し処理することが可能です。

また、その他資本剰余金に関して、
会計上も、欠損の範囲内に収まるため、
取り崩すことも可能であると考えられます。

なお、
>・別途積立金 90,000
>・退職積立金 1,000

こちらの任意積立金については、定款等や内部規則等
に特殊な規制がない限り、株主総会決議による取り崩しが可能です。

よろしくお願い申し上げます。