いつも大変お世話になっております。
表題の件についてご教示頂ければ幸いです。
【前提】
(登場人物)
被相続人甲
相続人A、相続人B
公正証書遺言には
「後日新たに発見された財産については、相続人Bが取得する」
との記載があります
このたび、税務調査があり相続人A名義で被相続人甲が管理していた
名義預金の申告漏れを指摘されました。
【質問】
本件相続人A名義の預金の帰属についての考え方をご教示下さい。
(1)後日新たに発見された財産に該当 → 相続人Bが取得
(2)相続人Aに帰属させる意思が明確 → 相続人Aが取得
被相続人の意思を尊重すれば(2)になると考えますが、公正証書遺言の
「新たに発見された財産」をどのように考えるかで悩んでおります。
以上です。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>本件相続人A名義の預金の帰属についての考え方をご教示下さい。
> (1)後日新たに発見された財産に該当 → 相続人Bが取得
> (2)相続人Aに帰属させる意思が明確 → 相続人Aが取得
>被相続人の意思を尊重すれば(2)になると考えますが、公正証書遺言の
>「新たに発見された財産」をどのように考えるかで悩んでおります。
2 回答
>税務調査があり相続人A名義で被相続人甲が管理していた
>名義預金の申告漏れを指摘されました。
この指摘が正しい(当預金が相続財産となる)
ということを前提とすると、
Aに帰属するという
(2)は遺言の解釈としては、難しいものと考えます。
あくまでも相続財産の帰属は遺言の効果によるもの
であるためで、Aに帰属すると考える法律構成としては、
名義預金ではなく、被相続人甲から対象預金の
原資についてまたはどこかのタイミングで
預金債権についての生前贈与があったという
ことがいえなくてはなりません。
一方で、「後日新たに発見された財産」として、
Bに帰属するかという点についても疑義があります。
甲の遺言時の意思として、
名義預金は、Aに贈与したものという認識で
あったため、そもそも「新たに発見された財産」に
含まれないのではないかという点に疑義あるからです。
「その他の財産」ということであれば、
Bに帰属と考えることになるかと思いますが、
表現として、「新たに」発見された財産とされている点が、
気になるところです。
「後日新たに発見された財産」というのは、
概ね「その他の財産」を意味する程度で記載された
ものであるという意思解釈について、一定程度合理性があるため、
原則としては、Bに帰属し、
Aが争うのであれば、遺言の対象外の財産と
して、各相続分による未分割財産となる
可能性もあるということになろうかと思います。
このような遺言である以上、
民事上は、当事者で話し合ってもらい
Aが争うということになれば、
名義財産生及び遺言の解釈(名義預金が「新たに発見された財産」にあたるか)
という2点が争点になるでしょう。
よろしくお願い申し上げます。