お世話になっております。税理士の●●です。
この度、居住者甲が甥である乙に生命保険の生存給付金を使った暦年贈与を
おこないました。
その際、贈与税額を逆算し、その贈与税額相当分の現金は私の口座に振り込んで
いただき、来年2月に贈与税申告をするとともに私の方で贈与税の支払いも
おこなう予定です。
その際、契約書の文言として、以下のように考えておりますが、これについて
アドバイスを頂戴できればと思います。
第1条 甲は、現金●●円を乙に贈与するものとし、乙かこれを承諾した。
第2条 甲は、第1条に基づき贈与する現金を、令和3年9月中に、以下の銀行
口座に振り込むものとする。
私の銀行口座を記載
第3条 乙は、前条の銀行口座に振り込まれた金額を、令和3年分の贈与税額の
支払いに充てるため、税理士 麻生裕之に預けることを承諾する。
また、そもそもこのような現金を預かる行為は避けた方がよろしいでしょうか。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>この度、居住者甲が甥である乙に生命保険の生存給付金を使った暦年贈与
>をおこないました。
>その際、贈与税額を逆算し、その贈与税額相当分の現金は私の口座に振り込んで
>いただき、来年2月に贈与税申告をするとともに私の方で贈与税の支払いも
>おこなう予定です。
>その際、契約書の文言として、以下のように考えておりますが、これについて
>アドバイスを頂戴できればと思います。
>第1条 甲は、現金●●円を乙に贈与するものとし、乙かこれを承諾した。
>第2条 甲は、第1条に基づき贈与する現金を、令和3年9月中に、以下の銀行
>口座に振り込むものとする。
>私の銀行口座を記載
>第3条 乙は、前条の銀行口座に振り込まれた金額を、令和3年分の贈与税額の
>支払いに充てるため、税理士 麻生裕之に預けることを承諾する。
2 回答
前提事情について、私の方でわかっていない部分が
あるかも知れませんが、上記の条項から推察すると、
第1条の現金は、贈与者から贈与税相当額を
別途乙に贈与とするという趣旨でしょうか。
(なお、その場合、その金額も贈与税の対象となります。)
そうであれば、
第3条については、以下の方がベターかと思います。
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第3条 乙は、前条の銀行口座に振り込まれた金額を、
乙の令和3年分の贈与税額の支払いに充てるため、
税理士 麻生裕之に預けることを承諾し、税理士麻生裕之に
当該金額について、令和3年分の贈与税額の納付手続きを
することを委託する。
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というように、乙から納付手続きの委託を先生が受ける
という形が良いと存じます。
この場合、委託を受けるという法律行為を含みますので、契約書上は、
甲、乙に加えて先生も丙として契約書に記載し、署名・捺印
することをお勧めします。
>また、そもそもこのような現金を預かる行為は避けた方がよろしいでしょうか。
そうですね。一般的には、現金管理及び納付の責任を税理士
の先生が負うことになるのであまりお勧めはしません。
弁護士も金銭を預ることはありますが、
その場合には、「弁護士●● 預かり口」という専用の口座を作成して、
他の財産と分別管理ができる状態で行っています。
ただ、リスクとしては、抽象的なものに留まるので、
金額の多寡やメリットとの兼ね合いかとは思います。
また、例えば、贈与契約書があっても、実際に振り込みが
なされたかについて、調査等で、税理士の先生の通帳の確認が必要に
なったりと面倒なことになる可能性自体はあるかなとは思います。
通常は、行うとしても、乙に贈与により振り込まれた金額を税理士の先生に
振込むという形が多いかとは思います。
その場合、乙と税理士の先生の間で、覚書を締結する
ということになります。
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乙は、金●●円を、乙の令和3年分の贈与税額の支払いのため、
税理士 麻生裕之に預けることとし、税理士麻生裕之に
当該金額について、令和3年分の贈与税額の納付手続きを
することを委託し、税理士麻生裕之はこれを承諾する。
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よろしくお願い申し上げます。