いつもお世話になります。
相続税申告書に添付する遺産分割協議書に押印をしてもらい司法書士に登記を依頼したところ、すでに市へ寄付をした土地が記載されているとの指摘を受けました。
土地の内容は、地目公衆用道路(現況も公衆用道路)10㎡
すでに市へ寄付した土地については、分割協議書に記載があったとしても権利はないこと、また、10㎡の公衆道路で財産価値がそもそもないこと、を考慮すると分割協議書の中での重要性が乏しいと考えられますので内容の訂正はせずに、相続税申告書に添付して税務署へ提出しようと考えています。ただし、不動産全部事項証明書(市への寄付が記載されている)の添付と、税理士法33の2の添付書面に、市へ寄付したものである旨コメントを付けます。
(質問)
遺産分割協議書の作成にあたって勘違いはありうることかと思いますが、相続人間の合意は合意として尊重し、相続税申告については財産評価の規定に従って相続財産でないものは計上しないという対応をしたいと思いますが、永吉先生のご意見を伺いたくよろしくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>遺産分割協議書の作成にあたって勘違いはありうることかと思いますが、
>相続人間の合意は合意として尊重し、相続税申告については財産評価の規定に従って
>相続財産でないものは計上しないという対応をしたいと思いますが、永吉先生の
>ご意見を伺いたくよろしくお願いいたします。
2 回答
はい。相続税申告との関係では、
先生ご指摘のご対応でよいと存じます。
当事者間(民事)の問題としては、
重要な前提事実に錯誤(この財産があると誤信したため、この遺産分割をした)
があり、遺産分割を取消す(民法95条)との主張がでうる
ということはありますが、
>相続税申告書に添付する遺産分割協議書に押印をしてもらい司法書士に登記を依頼したとこ>ろ、すでに市へ寄付をした土地が記載されているとの指摘を受けました。
>土地の内容は、地目公衆用道路(現況も公衆用道路)10㎡
>また、10㎡の公衆道路で財産価値がそもそもないこと、
ということなので、本件では、重要な前提事実に錯誤がある
とは認められないでしょう。
なお、本件は上記のとおりですが、一般論として
遺産分割協議書の相続財産に誤りがあった場合、
後の紛争を防ぐという意味では、
遺産分割の内容の訂正まではせずとも、
「遺産分割協議書記載の●●●については、
相続財産ではなかったことを相互に確認する」
というような確認書を相続人間でとっておくという
対応をしておくとより安全性は高いということと
なるかとは思います。
今後のご参考にしていただければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。