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法定相続人の数(前妻との子を養子にしたケース)

永吉先生

いつも大変お世話になっております。
税理士の●●です。

初歩的な質問(確認)で大変恐縮ですが下記につきお教え願います。

(前提)
・夫Xは数年前に亡くなっており、Xには前妻との間に3人の子供Zがいます。
・後妻Yとの間には子供はいません。

(質問)
後妻YがZを養子にした場合、Yの相続が発生した際の下記計算については
法定相続人の数を3人として計算でき、あと1人まで養子を下記計算に加える
ことができるとの理解でよろしいでしょうか。
(1) 相続税の基礎控除額
(2) 生命保険金の非課税限度額
(3) 死亡退職金の非課税限度額
(4) 相続税の総額の計算

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4170.htm

お手数をお掛けしますが、よろしくお願いします。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>(前提)
>・夫Xは数年前に亡くなっており、Xには前妻との間に3人の子供Zがいます。
>・後妻Yとの間には子供はいません。

>(質問)
>後妻YがZを養子にした場合、Yの相続が発生した際の下記計算については
>法定相続人の数を3人として計算でき、あと1人まで養子を下記計算に加える
>ことができるとの理解でよろしいでしょうか。
>(1) 相続税の基礎控除額
>(2) 生命保険金の非課税限度額
>(3) 死亡退職金の非課税限度額
>(4) 相続税の総額の計算

2 回答

結論として、先生のご理解で問題ないと存じます。

(1)相続税法の規定(前提)

前提として、相続税法の建て付けですが、
相続税法15条2項が、相続人の数の養子の
数の限定をしておりますが、

相続税法15条3項で、
「当該被相続人の配偶者の実子で当該被相続人の養子となつた者」
は、前項(第2項)の規定の適用について実子とみなすとされていますので、

「当該被相続人の配偶者の実子で当該被相続人の養子となつた者」にZが
含まれば、Yの相続に際して、実子と同様の扱いが可能です。

(2)配偶者死亡後に養子縁組をした場合

おそらくご質問の趣旨としては、配偶者死亡後にその実子と
Yが養子縁組をした場合はどうなるのかという点かと思います。

相続税法の解釈としては、既に死亡している者を「配偶者」と
評価できるのかという問題となるかと思います。

確かに既に死亡している場合に、「配偶者」と言えるのか
という点の解釈の余地はありますが、

民法上は、生存した配偶者が婚族関係を終了させる
意思表示をするまでは婚族関係は終了しないとされています(民法728条2項)。

直接的な配偶者の定義されるわけではないですが、
このような意思表示がなく、
婚族関係が継続している以上、この局面では配偶者と考えて良いと考えます。

また、相続税基本通達15ー6の前段
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/04.htm#a-15_6

「当該被相続人の配偶者の実子で当該被相続人の養子となった者」とは、当
該被相続人と当該配偶者との婚姻期間(婚姻後民法第728条第2項((離婚等による姻族関係の終了))の規定により姻族関係が終了するまでの期間をいう。以下15-6において同じ。)において被相続人の養子であった者をいうものとする。」

としており、婚族関係が終了するまでの期間を婚姻期間と
し、その期間中に被相続人の養子であった者をいうとしてますので、
その理解を前提にしているものと思います。

よろしくお願い申し上げます。