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法の適用に関する通則法と国際相続

永吉先生

お世話になります。税理士の●●です。

件名ですが、国際相続では法の適用に関する通則法が重要で、
被相続人の本国法に準拠するとあります。

https://kslaw.jp/column/detail/4600/

この場合の考え方ですが、被相続人が国内籍で、外国の財産が相続財産の場合の取扱いですが、その外国の法律で、子でなく兄弟姉妹が相続人とされると、その兄弟姉妹にその外国の財産が分配されることがあると聞いたことがあります。しかし、このケースは法の適用に関する通則法で日本法で見るので、外国の財産を取得した兄弟姉妹から子が日本法に従って、財産を取り返す(遺留分減殺請求の対象になると思いますので)ことができると理解していいのでしょうか。

税務だと租税条約という形で、各国が合意しているのでそれで判断できますが、相続法だとこのような条約ないですよね?となると、法の適用関係がどうなるのかよく分かりません。

「法の適用に関する通則法」といったって、それは日本でしか使えないと思うのですが。

よろしくお願いいたします。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>この場合の考え方ですが、被相続人が国内籍で、
>外国の財産が相続財産の場合の取扱いです
>が、その外国の法律で、子でなく兄弟姉妹が相続人とされると、
>その兄弟姉妹にその外国の財産が分配されることがあると聞いたことが
>あります。
>しかし、このケースは法の適用に関する通則法で日本法で見るので、外国の
>財産を取得した兄弟姉妹から子が日本法に従って、財産を取り返す(遺留分
>減殺請求の対象になると思いますので)ことができると理解していいのでし
>ょうか。

2 回答

大変申し訳ないのですが、このご質問は、具体的な事案を
前提としておりますでしょうか。

どこの国との関係かわかりませんので、
何とも申し上げられないところです。

その国のどのような法律構成で、兄弟姉妹が相続人となるのかが不明ですが、
例えば、遺留分に関する点で日本法を適用するということであれば、
そもそも兄弟姉妹は、日本法上の「受遺者」又は「受贈者」(民法1046条)
に該当しないため、日本法上は遺留分の問題にはならないのではないでしょうか。
仮に遺言による等の事情があれば、また違う検討が必要かと思いますが。

ご質問からの予測に過ぎず、大変恐縮ですが、
実体法の適用の問題、準拠法の問題
、手続法の問題、裁判管轄の問題、具体的な執行の問題等
がごちゃまぜになっておりませんでしょうか。
(すみません。ここを抽象的に全て解説するとなると、
国際私法関係や民法、手続法関係の基本書などを読んでいただき、
法律の全体象をご理解いただいた方が早いでしょうし、
メールで回答できる性質のものではないと思います。)

>「法の適用に関する通則法」といったって、それは日本でしか使えないと
>思うのですが。

はい。理論上その通りかと存じます。
(立法も各国の状況を把握しつつある程度は整理されているという点は
事実上はありますが。)

なお、単なる例示になってしまいますが、
条約関連について以下のようなものもあります。

・扶養義務の準拠法に関する条約
・遺言の方式に関する法律の抵触に関する条約
・子に対する扶養義務の準拠法に関する条約
・民事訴訟手続に関する条約
・民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約
・民事訴訟手続に関する条約等の実施に伴う民事訴訟手続の特例等に関する法律
・民事訴訟手続に関する条約等の実施に伴う民事訴訟手続の特例等に関する規則
・外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約

よろしくお願い申し上げます。