民法 その他

遅延損害金の民法改正について

永吉先生

いつもお世話になりありがとうございます。
●●と申します。

民法改正による遅延損害金のパーセントについて
質問をさせてください。

(前提)
○ 法人A(売主)は法人B(買主)と商品売買の取引基本契約書を締結します。

○ 法人Bが商品の購入代金を支払日まで支払わない場合は、遅延損害金として、
次の文言を入れる予定です。この文言は昔から意識せずに、ずっと同じ文言を
使っています。

第○条(損害賠償金) 乙(法人B)が前条の支払を遅滞した時は、乙(法人B)は
甲(法人A)に対し、遅滞の日から完済まで日歩五銭の割合による損害金を付加
して支払う。

(質問)
○ 日歩五銭は年利にすると18.25%になるみたいですが、これは、今後も違法な利
率にはならないのでしょうか。

○ 今回、民法改正により法定利率の規定が改正になったとの事ですが、次のブログ
にて、以下の説明がありましたが、 正直、よく分からず、結論として何パーセントまでなら問題がなく、
また、今回の民法改正により何パーセントとすることが一般的なのでしょうか。

勝手申し上げますが、可能であれば契約書の文言もお教え頂ければ幸いです。

お手数をお掛け致しますが
宜しくお願い致します。

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5-2.遅延損害金について定めていない契約
https://komon.authense.jp/blog/tips0023/#:~:text=%E5%A5%91%E7%B4%84%E4%B8%8A
%E9%81%85%E5%BB%B6%E6%90%8D%E5%AE%B3%E9%87%91,%E3%81%AF%E5%A4%89%E5%8B%95%E5
%88%B6%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問①〜遅延損害金の利率について

>○ 日歩五銭は年利にすると18.25%になるみたいですが、
>これは、今後も違法な利率にはならないのでしょうか。

そうですね。民法改正で変更になったのは、法定利率(合意がない
場合の利率)についてであり、当事者の合意による利率(約定利率)ではありません。

約定利率については、
利息制限法、消費者契約法及び公序良俗に反する場合(民法90条)
で規制を受ける場合を除いて、当事者の合意によります。

今回のような売買における遅延損害金については、
利息制限法の制限は受けませんし、法人(事業者)同士の取引なので、
消費者契約法の制限も受けません。

残るは、公序良俗に反するか否かですが、
取引契約や関係性含めて、個別判断とはなるものの、
18.25%程度ですと、そのように認定される可能性は
かなり低いと思います。

このあたりは、消費者契約法の適用がある「事業者」と「消費者」の
取引でも、上限金利が14.6%とされており、事業者同士の
取引であれば、18.25%という利率であれば、公序良俗に
反すると認定するのは難しいという判断もあります。

2 ご質問②〜約定利率の相場について

>○ 今回、民法改正により法定利率の規定が改正になったとの事ですが、次のブログ
>にて、以下の説明がありましたが、
>正直、よく分からず、結論として何パーセントまでなら問題がなく、
>また、今回の民法改正により何パーセントとすることが一般的なのでしょうか。
>勝手申し上げますが、可能であれば契約書の文言もお教え頂ければ幸いです。

上記のとおり、民法改正は、法定利率を変更したものであり、
約定利率についてのものではありません。

ご参考の記事も、法定利率についてのもので、
何も合意していない場合(または法定利率にすると合意していた場合)
には、法定利率5%または6%だったものが
3%になってしまいますよという趣旨のものかと思います。

なお、民法改正は関係ないですし、上記のとおり、
18.25%でも問題ないと思いますが、1つの参考として、
一般的に、上記の消費者契約法や下請代金支払遅延等防止法等で
出てくる「14.6%」としている会社も多いとは思います。

>勝手申し上げますが、可能であれば契約書の文言もお教え頂ければ幸いです。

いただいた契約書の内容で問題ないと思います。

一応、一般的には、
「乙が○条に定める代金の支払いを怠ったときは、乙は甲に対し、
支払日の翌日から支払い済みに至るまで年18.25%の割合による遅延損害金を支払う。」
など、年〇%で定めることが多いかなという程度です。

よろしくお願い申し上げます。