いつもお世話になっております。
税理士の●●です。
下記事項についてご教示を宜しくお願いします。
新たに関与することになった個人の過去の確定申告書を確認したところ、
明らかに経費として認められない経費が多額かつ多数計上されていました。
この点について納税者に確認をしたところ、前税理士が原因かは不明だが明らかな間違えなので、
私は当時関与していなかったが修正申告書を作成してほしいと言われました。
修正申告書を提出すること自体は問題ないのですが懸念事項が3点あります。
1.修正事項が多額かつ多数あり、かつ帳簿が残っていないため全ての修正事項の把握が難しい
2.納税者はとにかく早く提出してほしいとせかしてくる。
3.修正申告書を提出した後に更に修正すべき事項が発覚したときに、
「なぜ修正申告を作成したときに全ての誤りを修正してくれなかったんだ」と言われる可能性が高い。
納税者は上記の修正申告をするにあたり覚書を作ることには同意してくれています。
この覚書を作成するにあたり上記1から3の内容を踏まえた上で、
先生の視点から特に注意すべき点や入れた方が良い文言がありましたらご教示をお願いできればと思います。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>この点について納税者に確認をしたところ、前税理士が原因かは不明だが明らかな間違えな
>ので、私は当時関与していなかったが修正申告書を作成してほしいと言われまし
>た。
>修正申告書を提出すること自体は問題ないのですが懸念事項が3点あります。
>1.修正事項が多額かつ多数あり、かつ帳簿が残っていないため全ての修正事項の把握が難
>しい
>2.納税者はとにかく早く提出してほしいとせかしてくる。
>3.修正申告書を提出した後に更に修正すべき事項が発覚したときに、
>「なぜ修正申告を作成したときに全ての誤りを修正してくれなかったんだ」と言われる可能
>性が高い。
>この覚書を作成するにあたり上記1から3の内容を踏まえた上で、
>先生の視点から特に注意すべき点や入れた方が良い文言がありましたらご教示をお願いでき
>ればと思います。
2 回答
以下のような条項案を、通常の修正申告業務を受任する
契約書等に盛り込んでいただくと、1〜3の懸念事項
について、対応できるかと思います。
もちろん、クレーム自体を直接的防止
できるわけではありませんが、
この内容を条件として、契約をしている以上、
クレーム自体を発生させる可能性は著しく低くなりますし、
法的にもできる限り責任を回避することできる
内容となっているかと思います。
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〇〇(以下、「甲」という。)が、税理士〇〇(以下「乙」という。)に対して依頼する、〇〇年〇月期~〇〇年度〇月期(以下、「対象年度」という。)の修正申告書の作成及び提出(以下、「本件業務」という。)について、以下の通り合意する。
第○条 甲は、乙から、対象年度の本件業務に必要な資料等(帳簿含む)が不足し、かつ、修正事項が多数にのぼることが予想されるため、全ての修正事項を把握し、
本件業務を行うことが著しく困難である旨の説明を受けたことを確認する。
第▲条 甲は、本件業務の遂行に必要な説明、書類、記録、帳簿その他の資料(以下、「資料等」という。)をその責任と費用負担において、乙に提供しなければならない。
第○条 甲は、甲において帳簿等の作成がなされていないこと等が原因で、本件業務が全ての修正事項について行われないおそれがあることを理解した上で、乙に本件業務を依頼する。
第○条 乙は、第▲条により提供された資料等に基づいて修正が必要と判断できる事項を対象として、本件業務を遂行し、それで足りるものとする。
乙は、仮に、本件業務終了後に、甲が税務署等から追加の修正事項の指摘を受け、附帯税(延滞税・加算税など)が賦課されたとしても、一切の責任を負わないものとする。
第○条 乙は、甲からの第▲条の資料等の提出がすべて完了したときに、本件業務終了までの期間を決定するものとし、その期間中に、
甲に対して、税務調査の事前通知または調査手続きの開始があり、附帯税が生じたとしても、その責任を負わないものとする。
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よろしくお願い申し上げます。