相続 遺産分割

若い個人事業者が死亡した場合の幼少の相続人

お世話になります。●●と申します。

(前提)
・若い個人事業者甲が亡くなりました。
・相続人は配偶者と4歳の子乙です。
・借金が4000万円あります。
・保険金は1000万円入ってくる程度です。
・住居もあるので全員が放棄する、ということは
考えられません。
・第2順位の甲のご両親は健在です。

(質問)
・このようなケースで、幼少の相続人乙のために
先生なら、どのようなアドバイスをなさいますか。

よろしくお願いします。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>・若い個人事業者甲が亡くなりました。
>・相続人は配偶者と4歳の子乙です。
>・借金が4000万円あります。
>・保険金は1000万円入ってくる程度です。
>・住居もあるので全員が放棄する、ということは
>考えられません。
>・第2順位の甲のご両親は健在です。

>(質問)
>・このようなケースで、幼少の相続人乙のために
>先生なら、どのようなアドバイスをなさいますか。

2 回答

おそらく、乙が相続放棄をするのかしないのか、
というところになるかと思います。

借金の4000万円と住居の財産価値の問題にも
なりますし、4000万円の今後の返済計画や
ご遺族のご意向、両親との関係性や両親が
相続放棄した場合の兄弟姉妹の有無や関係性もありますので、
いただいた事情だけではなんとも言えないところですが、

相続財産が明らかに債務超過である場合には、相続放棄に
関するアドバイスはするかと思います。

ただ、現状の住居の維持を絶対条件とするので
あれば、相続放棄をするにしても、
配偶者が住居を取得できる状態は維持しておきたいところです。

ご両親と配偶者との関係が将来にわたり、維持できるのか
というのは、正直わからないところだからです。

4歳である乙が相続放棄をする場合には、
配偶者は、利益相反の関係で、

配偶者自身も相続放棄をした上で乙の相続放棄をする
または
特別代理人を選任した上で、相続放棄をする
という方法になるかと思います。

前者の場合ですと、配偶者の相続権も
失ってしまうことになってしまいますので、
おすすめできませんが、

後者の場合には、債務超過でない場合には
裁判所は、基本的に許可を出しません。

現時点で、乙も両親も相続放棄
をしたケースで次順位の兄弟姉妹が相続する
のであれば、債務の分担と住居の確保が可能な
状態かどうかを、探った上で、意思決定していく
ことになるかと思います。

なお、相続放棄をせずに、遺産分割協議書で
債務の負担を配偶者とするにしても、
債権者は、法定相続分にしたがって、各相続人
に債務の履行請求ができますので、その点は
ご注意ください。
(配偶者が子を代理して遺産分割協議を行う場合も、
利益相反にあたり、特別代理人の選任は必要となります)

よろしくお願い申し上げます。