お忙しいところ恐縮です。
当方の顧問先で、以下のような条項がある行政と取引があります。
この消費税返還を行うべきは一般的な条例でしょうか。
御指導ください。
【概要】
この顧問先は保育所の運営をしています。
補助金を交付うけて、保育所の建設をし、かつ運営をしています。
以下の交付要領は交付より1年半くらい経過してから、
行政より案内がきました。
<:●●市民間保育所施設整備費補助金交付要綱>
(実績報告)
第8条第3項
補助金の交付を受けた補助決定法人は、補助事業の完了後に、消費税及び地方消費税
の申告により当該補助金に係る消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額が確定した
場合は、速やかにその旨を市長に報告しなければならない。
第8条第4項
補助金の交付を受けた補助決定法人は、前項の規定による報告を行ったときは、当該
仕入控除税額の全部又は一部を市に返還しなければならない。
どうぞよろしくお願いします。
ご質問ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>当方の顧問先で、以下のような条項がある行政と取引があります。
>この消費税返還を行うべきは一般的な条例でしょうか。
><:●●市民間保育所施設整備費補助金交付要綱>
>(実績報告)
>第8条第3項
>補助金の交付を受けた補助決定法人は、補助事業の完了後に、消費税及び地方消費税
>の申告により当該補助金に係る消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額が確定した
>場合は、速やかにその旨を市長に報告しなければならない。
>第8条第4項
>補助金の交付を受けた補助決定法人は、前項の規定による報告を行ったときは、当該
>仕入控除税額の全部又は一部を市に返還しなければならない。
2 回答
このようにな仕入税額控除に関する規定については、
全国的に多くの地方公共団体で定められているもの
ですので、一般的か否かというと一般的かと思います。
「返還しなければならない」とするものや
「返還を求めることができる」(行政側に請求すれば返してもらえる権限を留保するもの)
などがあり、そのあたりは、各公共団体により一定の幅はあります。
目的としては補助金(雑収)が不課税取引であることとの
バランスをとるということがあるようです。
(この政策目的が適切なのかどうかは別として)
>以下の交付要領は交付より1年半くらい経過してから、
>行政より案内がきました。
行政法学上は種々議論があるところですが、
地方公共団体の補助金交付は、行政契約
の一種とするのが一般的な理解です。
問題は、交付要領が交付決定後に知らされた
ということですと、交付条件等になっていなかった
という可能性があり、これに拘束されるのかという
法的な議論はあります。
あくまでも一般論ですが、
交付を受ける際に同公共団体が発行する「交付要綱に従う」旨の
記載がある資料等があったのではないかと推測されますので、
(杜撰な公共団体もあります。)
一旦お客様にこの点ご確認いただいた方が
良いかと存じます。
なお、法的に従う義務があり、
これらの報告や返還を行わない場合、
補助金の交付条件に反しているとして、
法的に補助金の全部または一部の返還を求められるおそれもあります。
(児童福祉法56条の3第1号など)
よろしくお願い申し上げます。