相続 株式 会社法

他の株主が所有している株式の取り扱いについて

永吉先生

いつもお世話になっております。
税理士の●●です。

以下の内容についてどのように対応すれば良いかご教示を宜しくお願い致します。

1.概要
・X社(建設業)
・X社の株主構成
A社長(42歳)先代社長息子 65%所有
B専務(65歳)先代社長弟 35%所有

2.問題点
B専務はX社株式をAやX社に売却するつもりはなく、
B専務が死亡した場合、アメリカ在住の娘(31歳)がX社株式を相続することになる。

3.ご質問事項
B専務が死亡した際に、X社かA社長がB専務所有のX社株式を購入したいと思っていますが、
定款か議事録で定める方法など何かしらの方法で相続発生時に買取できるようにする方法はありますでしょうか。

●●先生

ご質問ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>B専務が死亡した際に、X社かA社長がB専務所有のX社株式を購入したい>と思っていますが、
>定款か議事録で定める方法など何かしらの方法で相続発生時に買取できるよ>うにする方法はありますでしょうか。

2 回答

一般的には、Bの株式の取得条項付株式への転換
や全部取得条項付株式スキーム設計や
相続人に対する売渡請求等の定款追加があるか
(その他の方法や組合せもあります)
と思いますが、

>A社長(42歳)先代社長息子 65%所有
>B専務(65歳)先代社長弟 35%所有

ということで、
いずれにしても、B専務の協力を一切得る
ことができないということですと、
最低でも株主総会の特別決議(2/3以上の賛成)
が必要となるため、B専務が株主総会に参加して反対され
てしまうと取れる方法がありません。

>B専務はX社株式をAやX社に売却するつもりはなく、

ということですが、
強制的になんとかするという方法は、
今回のケースでは難しいでしょう。

今回のケースでは、B専務は現時点で売却するつもりは
ないということですが、

実際に自分に相続が起こった場合(や認知症になった場合)
には、おそらく娘が株式を持っていても
娘は会社への関心が低い可能性も高いので、
むしろ、相続税の納税資金等を心配する必要がある等の
問題もあることなどを理由に

取得条項付株式(一定の事由(例:Bの死亡)
が生じた場合に会社が株式を買取ることができる株式)
に変更しないか等をBと交渉していくことになると思います。
(実務上は、納得してくれるケースも多いです。
関心がない人が株式だけ持っているよりも、
お金に変わる方が良いという
判断は一定の合理性があるため。)

どのスキームがよいかは、Bとの交渉
の中で取り決めていくこととなるでしょう。

今回は、株主がA・Bの2名なので、
株主の全員同意でも、2/3の賛成でも要件的な
難易度は変わらないので、

Bの株式を取得条項付株式に変換するという
方法(全員同意が必要)で交渉するのがよいのかとは思います。