前期末決算書において資本金100万円の株式会社(株主1名)でしたが、今期300万円の払込(元々の株主を含む6名)を受けて謄本に資本金の額300万円との記載がされております。
もともとあった資本金100万円分の株式については、現金98万円で法人が買い取ったとのことですが、この場合、自己株式の買取りと増資のタイミングによっては、株主不在の期間が生じてしまうように思いますが問題ないのでしょうか?
また、問題ありの場合に自己株式取得と増資のタイミングを同日にするなどの対応策はありますでしょうか。
よろしくお願い致します。
>もともとあった資本金100万円分の株式については、
>現金98万円で法人が買い取ったとのこと
>ですが、この場合、自己株式の買取りと増資のタイミングによっては、株主不在の期間が生
>じてしまうように思いますが問題ないのでしょうか?
おっしゃる通り、既存の資本金100万円分の株式
「すべてを」自己株式にしたのちに、増資の決議を
しているということであれば、
株主総会において議決権を行使できる者が
いないため、有効な総会決議がなく、
新株(増資手続き)には無効原因がある
ことになります。
ただし、新株発行については、
代表取締役が会社を代表して、
新株を発行する契約をしている以上、
1年以内(公開会社の場合には6ヶ月)
に無効を訴える裁判をしない場合には、
有効なものと扱われます(会社法828条1項2号)。
具体的にどのように手続きがなされたかは
わかりませんが、
仮に、自己株式の取得→新株発行(増資手続き)
だったとしても、登記さえちゃんと
入っていれば、無効を主張するメリットがある者
がいないように思いますので、新株発行が無効と
なることはないように思います。
なお、登記が適切に入っていないとすると
複雑な登記手続きが必要になりますので、
改めてご質問ください。
(ただ、この場合は、実際に裁判所に対して、
一定の手続きも必要ですので、その場合は、
無料面談等をご利用頂いた方が良いかもしれません。)
>資本金100万円分の株式については、現金98万円
と2万円ズレがありますので、もしかしたら、株主1名に
1株程度残した(財源規制との兼ね合いかもしれませんが)
可能性もあるのかなと思いましたので、
ご確認ください。
2 ご質問②〜同日開催等
>問題ありの場合に自己株式取得と増資のタイミングを同日にするなどの対応策はありますで
>しょうか。
はい。こちらについては同日対応可能です。
例えば、自己株式の取得と新株発行の株主総会決議について
同一日に決議を行い、両者の効力発生日を次の日以降等に
しておけば、いずれについても、
有効な株主総会の承認はありますから、
どちらの効力発生が先かは問題にはなりません。
また、新株発行を、総数引受契約(発行するすべての株式を、
6名ですべて引き受ける旨を明示して行う契約)の方式にて行う場合には、
新株発行の決議から効力発生までを1日で終えることができるため、
株主総会決議日と効力発生日を同日とすることもできます。
この場合には、議事録(というより株主総会決議事項)を
・第1号議案を新株発行にし、
・第2号議案で自己株式の取得
の順番にしておいた方が疑義がでない
ので良いでしょう。
ただし、上記は、あくまで一般論です。
具体的な対応策は、事実関係が確定しなければ
明確なことは申し上げられませんので、下記3もご参照いただき、
事実関係をご確認の上、必要であればあらためてご質問ください。
(具体的な対応策のアドバイスということであれば、
無料面談をご利用いただくのもよいかと思います)
3 その他〜今回の資本金額との関係
今回、元々資本金100万円であり、
300万円の払込みがあったにも関わらず、
現在の資本金が400万円ではなく、
300万円である理由としては、
以下の3つのパターンが考えられるかと思います。
①新たに払込みのあった300万円のうち200万円を資本金とし、
100万円を資本準備金とした
②増資や自己株式の取得の前後または同日に減資手続きをした
③発行した新株の中に、取得した自己株式が一部含まれていた(自己株式の発行は、新株発行の手続と同じです)
→自己株式の対価として払い込まれた出資金は、資本金には組み込まないため、
払い込まれた出資金の額と資本金の増加額にズレがあっても矛盾はありません。
なお、自己株式の取得やその償却をしても、
資本金は変動しません。
償却をしていれば、
登記簿の発行済株式数の方は、変動しているかと
思いますので、その点で確認できるかと思います。
①、②、③のいずれのパターンか、自己株式を償却しているのか
については、
登記をする際の提出資料をお客様からもらい
ご確認いただけば、明確にわかると思いますので、
もし、疑問が残るということであれば、
お客様から登記資料をもらってご確認された方が良いかと思います。
よろしくお願い申し上げます。