1.税務代理権限証書の添付のありとなしで取扱いは変わるのでしょうか?
(税理士の証明はして押印はしているという前提です)
2.顧問契約書を取り交わしているかどうかで取扱いは変わるのでしょうか?
3.もともと適用できない内容での税理士の勘違いで期限内申告をして、後日、税務署から
の指摘により修正申告をした場合には、基本的には税賠の対象とならないと考えて
もよろしいのでしょうか?
4.仮に税理士の無知、勘違いで適用できると説明をしていたり、
説明は一通りしたけど適用要件を確定申告時に忙しくて見落としをしたり
した場合には、税賠の対象とならないと考えてもよろしいのでしょうか?
5.具体例として、事前に住宅取得等資金の贈与の相談を受けていて、贈与税の期限内申告して
謄本も添付しているため、気付くべきでしたが、面積要件240㎡を超えた建物であった
ため適用対象外となり、
暦年贈与になってしまう案件の場合は、税賠の対象とならないと考えてもよろしいの
でしょうか?
選択可能性として相続時精算課税の適用を材料に税賠対象とすることはできるのでしょうか?
贈与税がかかるなら贈与でなく貸し借りにしたとかと言われても救われないものでしょうか?
仮に、事前税務相談業務担保特約に加入していたとしても税賠の対象になることはないでしょうか?
※簡単にまとめると、選択ができるケースや適用できるのに適用しないで申告した場合のみ
税倍の対象になるということでしょうか?
おそらく「税賠保険」を意味しているもの
と思われますので、その前提で回答します。
1 ご質問①
>1.税務代理権限証書の添付のありとなしで取扱いは変わるのでしょうか?
>(税理士の証明はして押印はしているという前提です)
法律上、税賠保険がおりるかという観点からは変わりません。
経験上は、実際に代理をしていたことを
基礎付ける証拠資料を追加で求められるケースが
あるかなという程度です。
2 ご質問②
>2.顧問契約書を取り交わしているかどうかで取扱いは変わるのでしょうか?
こちらも基本的には変わらないという
理解で良いです。
追加で、契約があった事実を基礎付ける資料の提出を
求められることもあるのかも知れませんが、
私の経験上は、顧問契約書がないという程度だと、
追加資料を求められたことはないですね。
3 ご質問③
>3.もともと適用できない内容での税理士の勘違いで期限内申告をして、後日、税務署から
>の指摘により修正申告をした場合には、基本的には税賠の対象とならないと考えて
>もよろしいのでしょうか?
そうですね。基本的に過少申告のケースでは、
税理士の先生が、そもそも負担する「損害」賠償義務は、
延滞税・加算税など附帯税部分になります。
(本税部分は、そもそも依頼者が負担するものであり、
そもそも税理士の先生が負担する「損害」ではないということです。)
延滞税・加算税部分は、保険契約上、免責事由になりますので、
保険はおりません。
4 ご質問④
>4.仮に税理士の無知、勘違いで適用できると説明をしていたり、
>説明は一通りしたけど適用要件を確定申告時に忙しくて見落としをしたり
>した場合には、税賠の対象とならないと考えてもよろしいのでしょうか?
損害の内容によりますが、
過少申告になり、延滞税・加算税部分が法的に認められる
「損害」の場合は、税賠保険の対象となりません。
他に選択可能性があるケースは、下記をご覧ください。
5 ご質問⑤
>具体例として、事前に住宅取得等資金の贈与の相談を受けていて、贈与税の期限内申告して
>謄本も添付しているため、気付くべきでしたが、面積要件240㎡を超えた建物であった
>ため適用対象外となり、
>暦年贈与になってしまう案件の場合は、税賠の対象とならないと考えてもよろしいの
>でしょうか?
>選択可能性として相続時精算課税の適用を材料に税賠対象とすることはできるのでしょう
>か?
>贈与税がかかるなら贈与でなく貸し借りにしたとかと言われても救われないものでしょう
>か?
まず前提として、将来の課税要件事実に関する
アドバイスについては、通常の税賠保険では、
適用対象外です。
>選択可能性として相続時精算課税の適用を材料に税賠対象とすることはできるのでしょう
>か?
>贈与税がかかるなら贈与でなく貸し借りにしたとかと言われても救われないものでしょう
>か?
こちらの事象については、つまり「贈与」という
将来に発生する課税要件事実に関するアドバイス
になるので、本則の税賠保険は適用対象外です。
>仮に、事前税務相談業務担保特約に加入していたとしても税賠の対象になることはないでし
>ょうか?
ですので、事前税務相談特約にご加入の
ケースについて解説します。
このケースでは、個別具体的な事情により、
税理士の先生が負う法的な損害が何か、
どこまでの金額が認められるかにより結論が変わりますし、
特にこのレベルの税理士賠償責任に関する
「損害論」はかなり複雑で、立証の問題含めて、
最終的には裁判までいかなければわかないという部分も
ありますが、一般論としては、下記のような整理になります。
>選択可能性として相続時精算課税の適用を材料に税賠対象とすることはできるのでしょう
>か?
このケースですと理論上は、
◯贈与税(本税のみ)
◯相続時精算課税を利用した場合の対象財産についての
贈与税・相続税額
を比較して、贈与税が高い
ということであれば、その差額分は、
実質的な過大申告として、
事前相談特約の対象
になると考えて良いと思われます。
ただし、法律上の「損害」といえるか
の要件である「因果関係」の立証として、
仮に相続時精算課税の適用があれば、
(面積要件240㎡を超えた建物であったとしても)
その時点で贈与をしたといえるかなどの
証明なども必要になるかと思います。
また、結局のところ、
「損額額」については、相続開始までは
確定しませんので、
保険会社としては、裁判で裁判所が損害額を
確定するか、現実の相続開始で論理的に
確定するまでは、保険金を支払う義務自体まで
は認められないでしょう。
この辺りは、
証拠提出のうまさや合意書締結の提案などに
より、
シュミレーションを行い、いったん支払ってもらうなどの
交渉の余地はありますので、私などが
代理で入る場合には、早めにおろしてもらうという
ような対応が不可能なわけではありませんが、
個別事案によるということでなんとも言えないところです。
>贈与税がかかるなら贈与でなく貸し借りにしたとかと言われても救われないものでしょう
>か?
このケースの損害は何かという点ですが、
貸し借りとするのであれば、当然贈与税対象者の
方は、お金を返さなくてはなりません。
そうすると、どのような点について
贈与を受けるよりも損をしたのかという点を立証しなくては
そもそも「損害」が何かというのがわからないというところです。
ですので、現実論としては、このようなケース
ですと、
本当に何が税理士の先生が法的に責任を負う「損害」
なのかという部分です。
依頼者の方に裁判で争いしっかり損害を
立証してもらうというところになって
しまうかと思います。
(または保険会社と裁判をするという
方法もあります。)
はっきりとした答えというような
回答ができず、心苦しいですが、
損害賠償における「損害」が何なのか?
という点については、個別具体的な事情のもと
でしか判断できない点が心苦しいところです。
>※簡単にまとめると、選択ができるケースや適用できるのに適用しないで申告し
>た場合のみ
>税倍の対象になるということでしょうか?
その他、複数選択肢があり、不利なものを選択してしまった
ケースも含まれます。
なお、以下は余談になりますが、
現実論として、
保険会社の人に尋ねて、保険対象ではない
といわれるような
ケース(例えば、パンフレットにおりない
とされているケースなど)でも、
金利損害部分など、個別具体的な事案
における損害の内容によっては、
保険対象になるケースがあるにも
かかわらず、保険対象にならない
ことを前提として、示談をしてしまっている
ケースも実務上は散見されます。
(勝手に示談をすると保険がおりなく
なってしまいます。)
保険会社の担当者の方もわざと保険対象
ではないと言ったのではなく、こちらから
法的な「損害」が当該事案においては何なのか
という点を法的に説明しなくてはわからない
という現状があります(法律のプロでは
ないため)。
判断に迷われるケースでは、
保険会社への問い合わせだけでなく、
弊社でも良いですし、税賠保険に
詳しい弁護士事務所(取扱っている
事務所または経験がある事務所は
日本にはほとんどないと思いますが)にも、
ご相談頂けるとできることがあるかと
思いますので、ぜひ、ご相談ください。
特にパンフレットの保険の支払いが
あった事例なかった事例については、
その理由まで目を通していただき、
何を「損害」と捉えているか、なぜ
保険対象にならない(なる)のかまで
ご確認いただいた方が良いです。
タイトル項目だけですと、
勘違いが生じます。このタイトル
項目だけを切り離して、何かの媒体に
掲載されてしまっているものも
複数ありますので、ご注意ください。
よろしくお願い申し上げます。