(前提条件)
・その法人の過去の取引(10年超)について、申告書、科目明細書等によりその事実があったことを間接的にですが、税務署側に主張したいと思っています
・本来であれば請求書や元帳が適していると思いますが、これらの資料はほとんど残っていません
・以前の顧問税理士が申告書の控えを法人に渡しており、連続して控えが残っているのですが、別表1などに収受印がありません
・以前の顧問税理士は既に廃業し、税理士側にも控えはありません
・取引があったものとまでは証明しづらいとしても、税務署側で取引が無いということも主張しづらいと思います
(質問事項)
・この収受印のない申告書控えは、交渉に有効なものとなり得るでしょうか
宜しくお願いいたします。
(1)ご質問
>・この収受印のない申告書控えは、交渉に有効なものとなり得るでしょうか
(2)回答の結論
特定の取引の事実について、
必ずしも収受印がなければ証拠の価値がない
ということはありません。
もちろん、収受印があった方が好ましい点も
ありますが、
いただいた事情を前提とすると他に証拠資料は
ないという状態でしょうし、
「収受印がない」としても、
この申告書控えは交渉上、利用した方が
良いと考えられます。
下記の回答の理由に、証拠の強さ
として、収受印があった場合のものと
同等とするための他の証拠の作成等についても
触れていますので、ご参照ください。
先生のご指摘
>取引があったものとまでは証明しづらいとしても、税務署側で取引が無いということも主張
>しづらいと思います
のとおり、
裁判レベルでは、
申告書、科目明細書等のみから、
取引があったと必ずしも、証明できる
ものではないです。
ただし、
税務署との交渉レベルでいえば、
他にある程度、取引があったことを
否定する事実(及び証拠)がなければ、
税務署側も取引がないという主張は
かなりしづらいかと思われます。
2 回答の理由
(1)収受印の有無が与える影響
まず、収受印の有無で、証拠の価値が
変わる部分は、つまるところ、本当に当該
申告書の内容で申告したのか否かという
点にあります。
ですので、収受印のないというところは、
この部分が他の証拠資料等で、補充できれば、
問題はありません。
今回の例ですと、
◯実際の納付金額と申告書の別表1の「法人税額」等
が計算上、一致しているということを証明する資料
(納付書等)
があれば、収受印のない点は補充できるかと考え
られます。
その他、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・以前の顧問税理士さんが、毎年
収受印のない申告書の控えを渡していたということ
(既に廃業しているので、
難しいところはあると思いますが、
その法人への申告書の控えとして、毎年顧問税理士が、
収受印のない控えを送っていたことの説明をメールでも
なんでも構わないので、もらうことができればなお良い。)
・収受印のない申告書の控えが連続で残っていることから、
毎年税理士さんが、そのような形式で申告書の控えを
送っていたと評価できること
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
等を主張して、収受印がないからといって、
この控えが申告内容と一致していないとは言えない
と主張すれば良いかと思います。
(2)申告書・科目明細書等の証拠力
先生のご指摘
>取引があったものとまでは証明しづらいとしても、税務署側で取引が無いということも主張
>しづらいと思います
のとおり、
裁判レベルでは、
申告書、科目明細書等のみから、
取引があったと必ずしも、証明できる
ものではありません。
ただし、
税務署との交渉レベルでいえば、
他にある程度、取引があったことを
否定する事実(及び証拠)がなければ、
税務署側も取引がないという主張は
かなりしづらいかと思われます。
よろしくお願い申し上げます。