税理士の●●です。
以前から気になっていた店舗側での「クレジットカード決済」
について質問させてください。
【質問1】
決済時に店舗が発行する「領収書」の多くは
「クレジットカードでお支払い」と記載してお渡ししますが、
実際に店舗は入金もされておらず、領収書の発行義務はない、という
認識で合ってますでしょうか？
【質問2】
質問1について、もしも正しい領収書を発行するのであれば、
カード会社からの入金日をもって
発行することになりますか？
又は、債権譲渡したと考えれば、
カード会社から領収書を発行してもらうべき、
とは考えられないでしょうか？
（債権譲渡構成と立替払構成では違うと思いますが・・）
【質問3】
エステや語学学習などコース・回数券など前受金のカード決済を行いますが、
こちらは本来、決済ＮＧなのでしょうか？
急いでおりません。
どうぞよろしくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
１ ご質問A〜クレジットカード決済と領収書
＞【質問1】
＞決済時に店舗が発行する「領収書」の多くは
＞「クレジットカードでお支払い」と記載してお渡ししますが、
＞実際に店舗は入金もされておらず、領収書の発行義務はない、という
＞認識で合ってますでしょうか？
＞【質問2】
＞質問1について、もしも正しい領収書を発行するのであれば、
＞カード会社からの入金日をもって
＞発行することになりますか？
まず、クレカ決済の登場人物ですが、
以下のように複雑なものとなっています。
（ネットで正確なものを拾いました。）
「加盟店」が店舗で、「利用者」がサービス等を受けた人です。
理論的なことをいうと、加盟店（店舗）は、
アクワイアラーから、支払い（第三者弁済）を受けているに
すぎません（さらに厳密にいうとアクワイアラーと
加盟店の間には、通常、決済代行会社（pay.jpやペイジェント等）が
入っているので、決済代行会社から受けている）ので、
民法４８６条の
「弁済をする者は、弁済と引換えに、
弁済を受領する者に対して受取証書（領収書）の交付を請求することができる。」
というのは、加盟店（店舗）は、アクワイアラー（通常は決済代行会社）
に領収書を発行する義務を負うだけです。
ただし、加盟店契約等で、手数料を差し引いた売上金額を
精算書という形で、受け取ることとなっており
領収書の発行義務は免除されている形が通常です。
つまり、厳密に言えば、加盟店（店舗）は利用者（サービスを受ける人）
に領収書を発行する義務自体負っていません。
＞（債権譲渡構成と立替払構成では違うと思いますが・・）
これは、どちらの構成でも変わりません。
実務上は、店舗やタクシーでカード決済をしても、
領収書をもらえますが、加盟店（店舗やタクシー会社）に義務はないが、
任意で発行しているものにすぎません。
金銭の領収書で５万円以上ですと印紙税がかかりますが、
その場合、領収書に「クレジットカードにてお支払い」等と記載され、
「金銭の受取書」（第１７号の１文書）に当たらないようにされている
と思います。
この文言は、印紙税の兼ね合いだけでなく２重発行等に
ならないように通常入っていることが多いと思います。
（入ってないケースもある）
なお、店舗等での決済の場合、
売上票の控えの交付は、加盟店契約上義務付け
られているのが通常です。
２ ご質問B〜前受金のカード決済について
＞【質問3】
＞エステや語学学習などコース・回数券など前受金のカード決済を行いますが、
＞こちらは本来、決済ＮＧなのでしょうか？
法律上禁止されるわけではありませんが、
通常、加盟店契約で禁止されています。
ただ、アクワイアラーまたは決済代行業者も
面倒が起きなければ、上に報告する必要がないため、
実務上は放置されているケースが多いと思います。
もっとも、途中解約等で利用者から、
イシュアーに申立てがあった場合、問題が
発覚し、アクワイアラーから金銭の返還請求や
加盟店契約の解除等されるおそれがあるため、
（実務上は、手続きがとにかく面倒）
そのようなケースでは、加盟店としては、
利用者に直接返金等をしてごまかしているケースも
多いと思います。
よろしくお願い申し上げます。