株式 会社法 法人税

債務超過の会社分割について

永吉先生

いつもお世話になります。

●●です。

会社分割(新設分割型分割)後、
分割法人の株式を他社へ譲渡
分割承継法人の株式は継続保有し事業も継続するスキームの実行を予定しています。

前提
株主A 夫婦(夫婦でB社を100%支配)
B社 分割法人
C社 分割承継法人
D社 買手先企業

D社と株主Aは第三者です。
債務を逃れるなどの意図はなく、
純粋に株主AがB社事業から手を放したい
という動機のM&Aになります。

一部上記と重複しますが、適格分割型分割を行い、D社へB社の一部分を新設するC
社として移転することを検討しております。
簡単な流れとしては、
・株主AがB社から一部を切り出し、C社を設立
・株主AがD社へ、B社株式を100%譲渡
※株主AによるC社への完全支配関係の継続と分割対価をC社株式以外に交付しない
ことを充たすものとする。

上記流れの中で、
分割承継法人が債務超過だった場合における株式交付について

そもそも、
1.分割承継法人が債務超過の会社分割は可能なのでしょうか。

2.1.が可能な場合、株式は交付されると思いますので、
適格分割型分割になるという理解でよろしいでしょうか。
(完全支配関係の適格分割型分割であり、株式交付のみ要件以外は全て満たすも
のとします)

宜しくお願い致します。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 前提

>会社分割(新設分割型分割)後、
>分割法人の株式を他社へ譲渡
>分割承継法人の株式は継続保有し事業も継続するスキームの実行を予定しています。

>・株主AがB社から一部を切り出し、C社を設立
>・株主AがD社へ、B社株式を100%譲渡
>※株主AによるC社への完全支配関係の継続と分割対価をC社株式以外に交付しない
>ことを充たすものとする。

が異なるように思いましたが、
おそらく、ご質問は後者を前提にしていると
思われますので、後者を前提に回答します。

2 ご質問と回答

(1)ご質問①
>1.分割承継法人が債務超過の会社分割は可能なのでしょうか。

はい。新設分割の場合にも、
分割承継法人が債務超過の場合(切り出す事業が債務超過の場合)
にも可能とは解されています。新設分割をして、
資本金0円の会社なども実務上存在はしています。
参考
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
会社計算規則49条2項但書
株主資本等変動額が零未満の場合には、
当該株主資本等変動額をその他利益剰余金
(新設分割設立会社が持分会社である場合にあっては、利益剰余金)の額とし、
資本金、資本剰余金及び利益準備金の額は零とする。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(2)ご質問②
>1が可能な場合、株式は交付されると思いますので、
>適格分割型分割になるという理解でよろしいでしょうか。
>(完全支配関係の適格分割型分割であり、株式交付のみ要件以外は全て満たすも
>のとします)

こちらは純粋な税務事項となりますし、
具体的な事案の把握なく適格判定を行うことは
できないのですが、

>(完全支配関係の適格分割型分割であり、株式交付のみ要件以外は全て満たすも
>のとします)

というのが、株式交付ができるのか?という意味であれば、
(1)よりできるということとなります。

よろしくお願い申し上げます。