お世話になっております。
取締役が将来辞任した場合の報酬返還等についてご質問させて頂けますでしょうか。
【前提】
取締役と新たに委任契約を締結するにあたり、会社として最低3年間は職務執行してほしいと考えている。
【ご質問】
①「3年内に辞任する場合、それまでに支払った報酬の●%を会社に返還するものとする」
といった条項を予め契約上で定めることは可能でしょうか?
②報酬の返還の他、なるべく辞任されることを回避できるような方策はありますでしょうか?
実際に辞任された場合に損害賠償請求を行うといったことは可能かもしれないですが、負担や不確実性が大きいと考えます。
よって、辞任される前にそれを予防するような設計がもしあれば、ご教示頂ければ幸いです。
宜しくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問①
>①「3年内に辞任する場合、それまでに支払った報酬の●%を会社に返還するものと
>する」
>といった条項を予め契約上で定めることは可能でしょうか?
そうですね。契約自体は、あくまでも、
会社と取締役の合意次第となりますので、
そのような契約をすることも可能であると考えられます。
あまりにも「●%」が高いと
憲法上の職業選択の自由の観点から、
公序良俗違反とされ、無効とされる可能性も
なくはないですが、
実質的に労働者と変わらない実態もなく
取締役であるということですと
そのおそれは低いかとは思います。
2 ご質問②
>②報酬の返還の他、なるべく辞任されることを回避できるような方策はありますでし
>ょうか?
>実際に辞任された場合に損害賠償請求を行うといったことは可能かもしれないですが、
>負担や不確実性が大きいと考えます。
>よって、辞任される前にそれを予防するような設計がもしあれば、ご教示頂ければ幸
>いです。
そうですね。現実的には、辞任をされたからといって、
損害賠償というのはそうそう認められるものではないでしょう。
(横領等の会社に損害を生じさせる具体的な行為があれば別ですが)
また、何年もの間、辞任自体を制限するような方法は
職業選択の自由の観点から無効になるおそれも高いですし、
結局のところ、本人にその気がなければ、
正直、役員報酬を支払っているだけで、残られても
あまりいいことはありません。
そのような状況となった場合、
従業員と異なり、その裁量は広く、
具体的な業務内容を指示(命令)することも難しいですので。
よろしくお願い申し上げます。