(前提)
1 合同会社 6月決算 業務執行社員 2名
2 合同会社では、株式会社のように株主総会を開催する必要はないと考えていま
すし、定款上も計算期間(5月1日~6月30日)の定めしかありません
(質問)
1 合同会社は通常上記のよな形態が一般的だと思いますが、この場合法人税の申
告書上、決算確定の日は社員が決算に同意した日をきさいすれば良いと考えてい
ますが、この考え方で問題ないでしょうか?
2 また、この場合には株主総会の議事録の代わりに、社員の同意書を作成してお
けばよろしいでしょうか?
3 株式会社では、通常株主総会で役員報酬の総額の承認をすると思いますが、こ
れについては、合同会社ではどのように考えるべきでしょうか?
4 3に関連しますが、業務執行社員の役員報酬を変更する場合には、上記の決算
承認と同じ日に社員間で同意していれば、社員の同意書に各人の改訂後の役員報
酬額を記載すれば、よろしいでしょうか?
5 こんな感じで同意書を作成すればいいという、ひな形があればご紹介下さい。
6 合同会社の解説をした書籍でお勧めのものがあれば、ご紹介下さい。
お手数かけますが、よろしくお願いいたします。
>1 合同会社は通常上記のような形態が一般的だと思いますが、この場合法人税の申
>告書上、決算確定の日は社員が決算に同意した日をきさいすれば良いと考えてい
>ますが、この考え方で問題ないでしょうか?
ご指摘の考え方でよろしいかと思います。
合同会社は、株式会社とは異なり、
計算書類(貸借対照表・損益計算書など)を
株主総会で承認しなければならないというような
規制はありません(株式会社では、会社法438条2項)。
ただ、合同会社においては、
定款で異なる定めがない限り、
社員の過半数により業務執行の意思決定を
行ったうえで、各社員(業務執行社員を
定款で定めた場合は、その業務執行社員)が
業務執行を行うことになります(会社法590条1項2項)。
そして、決算書の承認も業務執行として、
社員の過半数の同意によるというのが、
一般的な解釈かと思います。
そのため、法人税の申告書に
添付する決算書の決算確定の日は
社員が同意した日でよいと思います。
2 ご質問②
>2 また、この場合には株主総会の議事録の代わりに、社員の同意書を作成してお
>けばよろしいでしょうか?
同意書の作成義務はありませんが、
社員の過半数が決算書の内容について
承認した旨の証拠を残すためにも、
書面を作成しておいた方がよいと思います。
3 ご質問③
>3 株式会社では、通常株主総会で役員報酬の総額の承認をすると思いますが、こ
>れについては、合同会社ではどのように考えるべきでしょうか?
>4 3に関連しますが、業務執行社員の役員報酬を変更する場合には、上記の決算
>承認と同じ日に社員間で同意していれば、社員の同意書に各人の改訂後の役員報
>酬額を記載すれば、よろしいでしょうか?
結論としては、ご指摘の方法でよいと思います。
合同会社では、業務執行社員の報酬を
決定するためには、会社と社員との間で、
報酬の合意をすれば足り、
株式会社のように、会社側の決定方法について、
明確な手続の定めはありません。
(定款でその方法が指定されていれば、
それに従いますが、以下では、
定款の定めがない前提で進めます)
一般的に会社側の決定方法について、
解釈では、社員の過半数で定めると
解されています。
ただし、合同会社にも、株式会社と同様に、
利益相反取引の制限規定があり、
利益相反取引を行う場合には、
その社員を除いた社員の過半数の
同意を得なければならないとされています(会社法595条1項)。
社員が自己の報酬を決定するということは、
利益相反にあたるので、他の社員の過半数の
同意が必要となります。
今回のケースでいえば、
社員が2名いらっしゃるということですので、
2名ともの同意により報酬を決定して
その同意書を作成しておけば問題はありません。
また、報酬の変更は、会社と社員との契約内容の変更にあたり、
本来、会社側と当該社員との間での合意が必要ですが、
今回のケースで、会社の決定の際に、
社員2名とも同意しているということであれば、
これにより、報酬変更となる社員も
同意していることになるため、
別途、会社と当該社員との間で、
報酬変更の合意をすることは不要と思われます。
4 ご質問④
>5 こんな感じで同意書を作成すればいいという、ひな形があればご紹介下さい。
書面の内容としては、
・同意の対象となる事項の明示
・社員がこれに同意の意思を示していること
の記載があり、
・各社員の署名(または記名)・捺印があること
が重要です。
タイトルや形式は特に問われるものではないですが、
ひな形としては、以下の法務局が出している
登記申請の際の総社員の同意書を
ご参考になさってはいかがでしょうか。
(PDFの4ページ目)
5 ご質問⑤
>6 合同会社の解説をした書籍でお勧めのものがあれば、ご紹介下さい。
合同会社に関して、法律的な解説をしている
書籍は非常に少ないです。
会社法の条文の解釈などについては、
「会社法コンメンタール」(商事法務、全20冊程度)が詳しいですが、
これは会社法に精通していないと難解かと思われます。
あとは、最近出版された書籍ですが、
「合同会社の法と実務」(商事法務、著者:森本滋)
という書籍は、比較的内容がまとまっていて、
記載内容もある程度信頼できるかと思います。
ご参考になさってください。
よろしくお願い申し上げます。