民法

外注先法人発行の請求書において指定振込先が個人名義である場合

永吉先生

いつも大変お世話になっております。
表題の件、ご教示頂ければ幸いです。

<前提>
法人のお客様からの相談です。
外注先(法人)から請求書が届き、振込支払しようとしたところ、
指定の振込先が代表者個人口座だったそうです。

<質問1>
そのまま個人口座に振り込むことは相談者にとって何らかのリスクを負うことはあるのでしょうか?

<質問2>
法人名で別途領収証を発行してもらうなどの予防措置をとることを考えていますが、有効でしょうか。
また、他に注意すべき点やとるべき措置などがあればご教示下さい。

以上です。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問①〜代表の個人口座に振込むリスク

><前提>
>法人のお客様からの相談です。
>外注先(法人)から請求書が届き、振込支払しようとしたところ、
>指定の振込先が代表者個人口座だったそうです。
><質問1>
>そのまま個人口座に振り込むことは相談者にとって何らかのリスクを負うことはあるのでし>ょうか?

ありえるとすれば、外注先法人から本来の弁済行為である
支払いが行われていないと主張される点でしょうか。
(その主張を前提とすると、今度は代表者個人が
お客様に振込金額を返金することとなりますが)

ただ、外注先法人からの請求書に代表者の個人口座への
振込が要求されているとのことですと、
債務の支払方法に関する合意があったという
ことで、リスク自体は小さいようには思います。

なぜ個人の口座なのかを
代表者に連絡して、その理由をメール等証拠の
残る形でもらうことも検討されても良いでしょう。

仮に、
(設立後間もない等でもなく)法人口座自体があるにも関わらず、
個人の口座に支払うよう要求している場合には、
法人口座が差押え等を受けた事情がある可能性が
高いので、今後の取引等は慎重に検討された
方が良いでしょう。
(なお、前払いの場合には、今後の役務提供が
適切にされるのかも注意が必要です。)

2 ご質問②〜予防措置
>法人名で別途領収証を発行してもらうなどの予防措置をとることを考えて
>いますが、有効でしょうか。
>また、他に注意すべき点やとるべき措置などがあればご教示下さい。

そうですね。非常に有効な方法だと思います。

会社代表者から支払先の個人口座情報を記載した上で、

お客様の外注法人への債務の支払いは、以下の口座に
までお願いします等の書面をもらうことも有効でしょう。

よろしくお願い申し上げます。