税理士の●●です。
まだ相続は起こっていないのですが、認知症(契約能力はないと思われ
ます)の配偶者がいる場合の遺産分割に関してお教えください。
夫A、配偶者Bは、ともに認知症でグループホームに入所している。夫Aに
は長女Cが後見人(監督人も付いている)となっているが、配偶者Bには
後見人等はいない。
夫Aが死亡した場合、二女Dも含めて、法定相続分での遺産分割を考えて
いるようですが、小規模宅地の評価減、配偶者の税額軽減を行うために
は、遺産が分割されていないと適用がないため、遺産分割を行うために
は配偶者Bに後見人等を立てる以外、方法はないのでしょうか?
よろしくお願いします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
> まだ相続は起こっていないのですが、認知症(契約能力はないと思われ
> ます)の配偶者がいる場合の遺産分割に関してお教えください。
> 夫A、配偶者Bは、ともに認知症でグループホームに入所している。夫Aに
> は長女Cが後見人(監督人も付いている)となっているが、配偶者Bには
> 後見人等はいない。
2 回答
配偶者Bが、
>認知症(契約能力はないと思われます)の配偶者
であることを前提とすると、法律的には、遺産分割協議を
行うことができませんので、ご指摘のとおり、
配偶者等に後見人を立てる等の措置が必要となります。
(でなければ、遺産分割は無効です。)
さらに、今回のケースですと、他の相続人(長女Cや次女D)
が後見人となると、遺産分割において利益相反になるため、
別途特別代理人の選定が必要となります(民法860条但書、826条2項)。
全くおすすめはできませんし、正規の
ルートをとるべきかと思いますが、
実際上は、法定相続分で分けるということで、
将来争いになる可能性は低いということで、
遺産分割の合意を形式上してしまうというケースは
あるでしょう。
(それでものちに第三者の後見人がつけば、
無効だと主張されるおそれはあるかとは思います。)
本来的には遺産分割は無効となりますので、
それを前提に税務処理をするのが正しいということに
なるのでしょうが、税務署がそれを指摘してくるのか
というと、してこないようには思いますが。
よろしくお願い申し上げます。