・関与先が、無償SOを発行予定
・適格になるには、譲渡禁止が必要
質問
関与先の顧問弁護士からSOの譲渡を禁止することはできないと言われてしまいまして、話が進みません。適格要件との関係でおかしいと思っています。この弁護士が言っていることは正しいのでしょうか。もし、適格SOのご経験がある場合には、どのように対処すべきかも教えてください。
>関与先の顧問弁護士からSOの譲渡を禁止することはできないと言われてしまいまして、話が
>進みません。適格要件との関係でおかしいと思っています。この弁護士が言っていることは
>正しいのでしょうか。
先生と弁護士の方の認識の相違は、
◯新株予約権の内容
◯会社とSO取得者との契約
は、法的に意味が違うという部分から生じていると
考えられます。以下、説明します。
なお、具体的な対応方法や契約書の記載例は
「2」をご覧ください。
(1)新株予約権の内容
株式や新株予約権(潜在株)については、
会社法上、譲渡自由の原則という
ものがあります(会社法127条、254条1項)。
ですので、その内容としては、
会社法が認めている範囲で、
株主総会や取締役会の承認
を必要とする(禁止ではなく)制限を
することができるのみということに
なります。
実務上、譲渡禁止の登記が入っていた
時期もあり、若干の混乱がありましたが、
会社法上はそのように解されます。
そういう意味では、弁護士の方がおっしゃている
ことは正しいということになります。
(2)SO取得者との契約
ただし、
新株予約権の内容としては
会社法上、定めることができないとしても、
取得者との契約(新株予約券割当契約書など)
で、譲渡禁止を定めることは可能です。
税制適格SOの譲渡禁止要件についても、
契約書で定めることで要件を充足することが
できます。
適格の要件を定める
租税特別措置法29条の2第1項も
「契約おいて、次に掲げる要件が定められているもの」
とされています。
2 ご質問②~対処方法~
>もし、適格SOのご経験がある場合には、どのように対処すべきかも教えてください。
(1)弁護士の方への提案方法
弁護士の方も、税制適格のことはわからない
でしょうし、法務のみの問題を考えると
あまり意識がいかないので、
「租税特別措置法29条の2第1項に記載が
ある通り、SOの内容としては無理でも契約で定めて下さい」
(租税特別措置法の条文も合わせて)
とお伝えすれば話はスムーズにいくと思います。
ただし、他の適格要件を含めて、
要件を満たしている契約になっているかは、
税理士の先生の方で、必ずご確認された方が
良いでしょう。
(2)記載例
契約書への記載例としては、
おそらく契約書の末尾にSOの
内容を定める発行要項(株主総会などで承認した内容)
をつけると思いますので、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
本発行要項の定めにかかわらず、本新株予約権者
は、本新株予約権の譲渡、担保権の設定その他一切の
処分をすることができないものとする。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
または、端的に
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
本新株予約権の内容にかかわらず、本新株予約権者
は、本新株予約権の譲渡、担保権の設定その他一切の
処分をすることができないものとする。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
と定める形で良いでしょう。
こちらの記載例も合わせて弁護士の方に
ご提案してみるのも良いかと思います。
よろしくお願い申し上げます。