その他

建築士法違反かどうかの判断

(前提)
関与先A法人は、給排水設備等の設計図を作成している会社です。

社長は、この業務は建築士等の資格(登録)はなくてもできると言っています。

またAは、社長をはじめ社員の全員が建築士等の資格は持っていません。

今回、ある設計事務所より建物の構造計算の依頼を受け、Aが受注し、受注した構造
計算を外部の設計事務所へすべて外注に出そうと考えているようです。

(質問)
Aが受注すること自体、建築士法等の法令に違反するのでしょうか?

宜しくお願いします。

1 ご質問

>Aが受注すること自体、建築士法等の法令に違反するのでしょうか?

2 回答

構造計算書の作成業務は、
建築士でなければできない業務とされています。
(建築士法3条~3条の2、第2条7項)

また、他人の求めに応じ報酬を得て、
設計等を業として行うには、建築士事務所として、
都道府県の登録が必要とされています。
(第23条の10第2項、23条の3)

また、これは関与先A社ではなく、
委託する建築事務所側の問題ですが、
再委託の禁止規定(第24条の3第1項)に
違反します。
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(再委託の制限)
第24条の3 建築士事務所の開設者は、委託者の許諾を得た場合においても、委託を受けた設計又は工事監理の業務を建築士事務所の開設者以外の者に委託してはならない。
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A社が構造計算書の作成自体を行う場合には、
これらに違反することは明確ですが、
受注すること自体が違反になるかは、
法律の文言上は、疑義がないわけではありません。

ただ、受注するということは、
受注業者において、当該業務を行うことが前提となるため、
受注すること自体がこれらに違反するものと思われます。

受注する業務が、
構造計算「書」の作成自体ではなく、
これに付随する瑣末な業務ということであれば、
上記の規制に違反しない場合がないわけではないと思われます。
(建築事務所が、付随業務のみ委託するというのは、
本ケースではあまり考えられませんが)

もし、構造計算「書」の作成業務自体の
受注ではないという場合には、
詳細な資料、事情、契約内容などで、
違反しないようリスクヘッジをするということも
考えられますが、

最終的には実態判断になりますので、
業務の受注ということですと、

Aが外部の設計事務所に
外注していることからするとかなり厳しいかと
思います(設計事務所がやるべき業務だから
外注しているのでしょう?と推認されてしまうため)。

リスクを最小にして、
安心して進めたいということでしたら、

これらの資料を下に
管轄の都道府県の部署に事前に相談された方が
よいと思います。

よろしくお願い申し上げます。