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金銭以外の匿名組合出資と返還可否について

匿名組合契約について、金銭以外の出資の可否についてご教示下さい。

商法536②で「匿名組合員は、金銭その他の財産のみをその出資の目的とすることができる。」とあります。
この金銭その他の財産について、不動産や有価証券、仮想通貨は含まれる(出資可能)でしょうか?
信用や労務出資は不可と記載された書籍はあるのですが、不動産等については明瞭な記載はなかったため、ご教示頂ければ幸いです。

宜しくお願いいたします。

1 ご質問

>商法536②で「匿名組合員は、金銭その他の財産のみをその出資の目的とすることができる。」とあります。
>この金銭その他の財産について、不動産や有価証券、仮想通貨は含まれる(出資可能)でしょうか?
>信用や労務出資は不可と記載された書籍はあるのですが、不動産等については明瞭な記載はなかったため、ご教示頂ければ幸いです。

2 回答

条文上、「その他の財産」に
特に限定はかかっていないため、不動産、有価証券、
仮想通貨も財産として、出資可能と考えられます。

また、その他に、動産、債権も出資可能と
されています。

なお、民法上の組合契約では、
労務出資が明文で認められていますが(民法667条2項)、
匿名組合契約は、明文がないことから、
それとの対比で、労務出資は認められないと
解されています。

よろしくお願い申し上げます。

追加で恐縮ですが例えば不動産を匿名組合出資する場合、財産権は営業者に属するため所有権移転登記も行うという考えで合っていますでしょうか?

また償還金額(ないし元本返還請求権)は、匿名組合出資時の不動産時価相当の金銭等と考えればよいか、それとも当該不動産の現物を償還という考えもありますでしょうか?

お手数お掛けしますが宜しくお願い申し上げます。

1 ご質問①

>追加で恐縮ですが例えば不動産を匿名組合出資する場合、財産権は営業者に属するため所有権移転登記も行うという考えで合っていますでしょうか?

ご理解のとおりです。

出資された不動産の所有権は、
相手方である営業者に帰属する
ことになるため(商法536条1項)、
所有権移転登記を行います。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
第536条
1 匿名組合員の出資は、営業者の財産に属する。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2 ご質問②

>また償還金額(ないし元本返還請求権)は、匿名組合出資時の不動産時価相当の金銭等と考えればよいか、それとも当該不動産の現物を償還という考えもありますでしょうか?

(1)返還される金額

不動産が現物出資された場合、
出資者は匿名組合契約の解約に伴って
出資の返還を受ける際に、
不動産そのものの返還を請求することはできず、
その評価相当額の金銭を返還される
ものと解されます。

それを前提とした裁判例も存在します。
(名古屋地裁判決昭和53年11月21日)

出資された不動産は、出資によって、
営業者に所有権が移転しており、
出資者が不動産自体の返還を
請求する根拠はないからです。

出資者は、商法542条本文に基づき、
不動産の評価相当額の
金銭の返還を請求する権利(債権)
を有するに過ぎません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
第542条
匿名組合契約が終了したときは、営業者は、匿名組合員にその出資の価額を返還しなければならない。ただし、出資が損失によって減少したときは、その残額を返還すれば足りる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ただし、出資が損失によって減少している
場合には、返還額からその損失額が
控除されることになります(商法542条ただし書)。

(2)不動産の現物返還の合意

商法に基づいた原則的な扱いは
上記のとおりですが、
不動産の現物の返還が不可能か、
というとそうではないと
考えられています。

出資者と営業者の間において、
不動産の現物を返還するという
合意をすることも可能であり、
有効と考えられています。

このような合意があれば、
出資者は不動産の現物の返還を
請求することができますし、
営業者はこれを返還する義務を負います。

したがって、
現物返還の特約があれば現物を返還する、
この特約がないのであれば、原則どおり、
評価相当額(ただし、営業により損失が生じていた場合には、
この損失額を控除)を返還する
ということになります。

なお、上記特約がある場合でも、
所有者が営業者である以上、
仮に営業者が不動産を譲渡してしまった
場合には、その譲渡自体は有効
になりますので、損害賠償を請求できるだけ
ということにはなります。

よろしくお願い申し上げます。

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