相続

会社からのお見舞金の相続財産性

永吉先生

いつも有難うございます。

一点質問させてください。
Aさんが業務上の自己で亡くなりました。
勤めていた会社からお見舞い金のような形(弔慰金といっても良いかも知れません)で
600万円戴きました。
受取った人は次女です(次女はA家を継いで、つまりA姓を継いでいます)。
(ちなみに相続人は長女・次女の二人です)

これは民法上、相続財産とはならないと考えて宜しいでしょうか?
また、もし相続財産とならないとすれば
それはどのように配分するのが妥当でしょうか?
お教え戴ければ幸いです。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問①〜相続財産性について

>Aさんが業務上の自己で亡くなりました。
>勤めていた会社からお見舞い金のような形(弔慰金といっても良いかも知れません)で
>600万円戴きました。
>受取った人は次女です(次女はA家を継いで、つまりA姓を継いでいます)。
>(ちなみに相続人は長女・次女の二人です)
>これは民法上、相続財産とはならないと考えて宜しいでしょうか?

このお見舞金がどのような根拠で支払われた
のかに依存する問題となります。

この見舞金が、会社に支給基準などが
定められており、例えば、
「第1順位 配偶者」
「第2順位 同居の親族」等、通常の相続とは
異なる順位が定められ、この例でいうところの
第2順位に「次女」が該当するということであれば、
これは相続財産ではなく、受け取った次女の固有財産
となります。

一方で、会社が業務上の事故ということもあり、
規定等関係なく支払ったという場合には、
厳密にはこの支払いが何の趣旨で支払われたか等の
認定と評価の問題となります。

これが、会社として故人に対する損害賠償として
支払われたと認定されるのであれば、「相続財産」と
なりますし、

そうではなく、例えば、同居の親族である次女の生活保障ために
払われたということであれば、「固有財産」としての
性質を有するものとなると思います。

正直、今回の場合は、会社としてもよく理解せず払っている
可能性もありますし、判断が難しいところです。

実務上は、次女のみに支払われているという点をとって、
固有財産として割り切っても良いかなとは思います。
(もちろん、長女が争ってくれば、争いにはなります。)

なお、労災や会社への損害賠償等の問題も
あると思うので、その辺りをどうするのかも決定された方が
良いと思います(長女に払うとしても、全体がどうなるのかが
わからないと、当事者の思いも変わるかと思いますので)。

2 ご質問②〜配分割合について

>また、もし相続財産とならないとすれば
>それはどのように配分するのが妥当でしょうか?
>お教え戴ければ幸いです。

上記のとおり、固有財産と見るのであれば、
次女のものとなりますし、
相続財産と見るのであれば、相続分での分配となります。

よろしくお願い申し上げます。