お世話になります。税理士●●です。
基本的な質問で恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
店舗等建物の内装工事現場におきまして、
下請け(外注先)の業者が事故を起こした場合、
元請業者としては、その損害額のどこまでを保証すべきなのでしょうか。
また、金銭的な問題以外でも、責任をとらなければならない範囲について、
法的根拠も併せて教えていただけますでしょうか。
漠然とした質問で申し訳ありませんがよろしくお願いします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>店舗等建物の内装工事現場におきまして、
>下請け(外注先)の業者が事故を起こした場合、
>元請業者としては、その損害額のどこまでを保証すべきなのでしょうか。
>また、金銭的な問題以外でも、責任をとらなければならない範囲について、
>法的根拠も併せて教えていただけますでしょうか。
2 回答
(1)注文者に対する責任
まず、事故によって、注文者に損害が
でている場合には、
あくまでも、注文者との関係では、
元請業者は、すべてにおいて賠償義務を負います。
あとは、元請業者と下請業者との責任分担
の話となり、元請業者が、下請業者にいくら
責任追及できるのかという問題となります。
((4)参照))
(2)第三者に対する責任
第三者に対して損害が生じている場合には、
第三者との関係では、元請業者と下請業者の
(不真正)連帯債務を負うこととなります。
つまり、元請業者の第三者に対する責任としては、
すべて賠償義務を負うということとなります。
あとは、前述と同様に、元請業者と下請業者の責任
分担の問題となります。
((4)参照))
(3)下請業者の労働者等に対する責任
下請業者の労働者等に損害が生じたという場合、
原則的には、労働者を雇用しているので
請業者が責任を負うこととなります。
一方で、判例上は、
元請会社と下請会社の従業員の間に特別な社会的接触関係が存する場合、
安全配慮義務が生じ、安全配慮義務違反があれば、元請業者も責任を負うとされています。
判例上は、例えば、
「下請け会社は元請け会社が管理する設備や器具を利用し、
事実上、元請け会社の指揮・監督下で稼動しているといえる状況
という事例」において、元請業者にも安全配慮義務違反があれば、
元請け業者も責任を負うとされるものなどがあります
(最高裁平成3年4月11日)
(4)元請業者と下請業者の責任分担について
この点は、本当に個別事案による判断となります。
結局のところ、当該事故についてどの程度、元請業者が
その原因の一端を担っているといえるかという
事実認定と評価の問題なりますので、明確にどの程度
というのを一般論として回答するのは難しい点が
あります。
その際には、事故原因行為の態様・事業関連性や
その現場で、どちらがどの程度指揮監督権を行使していたか
等の事情により判断されます。
もちろん、事故は下請業者の行為によるものという
点があるでしょうから、元請業者が下請業者よりも
責任を負うというケースは稀だと思いますが、
あえていうとすると、
現場監督等を元請け業者が行っている場合、
10〜30%程度の幅で元請業者も分担責任を負うケース
も比較的あると考えられます。
よろしくお願い申し上げます。