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業務委託契約の解除について

永吉先生

いつも大変御世話になっております。
税理士の●●と申します。

業務委託契約の解除についてご教示いただけますと幸いです。

【前提条件】

A社(委託者)とB社(受託者)は、コンサルティング業務について
業務委託契約を締結しています。

諸事情により、契約期間(〇年1月1日~〇年12月31日)満了を
もって、B社はA社との業務委託契約を解除したいと考えています。

本業務委託契約書には、契約の解除に関する条項は特段設けられて
おらず、やむを得ない事情が生じた場合、契約期間に関わらず、A社
又はB社は書面により契約を解除することができると記載されている
のみです。

B社がA社から受託したコンサルティング業務は、契約期間満了時
までに全て完了しない見込みです。

B社はコンサルティング業務の報酬として、タイムチャージでA社に
3ヶ月に一度に請求しています。

【質問事項】

B社がA社との業務委託契約を契約期間満了をもって解除する場合、
B社からA社に対して書面で業務委託契約解除通知を送付すれば、
法的に何ら問題なく契約を解除できるものなのでしょうか。
その他業務委託契約の解除にあたっての注意点がございましたら、
ご教示いただけますと幸いです。

お手数をお掛けしますが、ご回答の程、宜しくお願い申し上げます。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問
>B社がA社との業務委託契約を契約期間満了をもって解除する場合、
>B社からA社に対して書面で業務委託契約解除通知を送付すれば、
>法的に何ら問題なく契約を解除できるものなのでしょうか。

2 回答

(1)契約の終了について

今回は契約期間の満了による契約の終了を
求められるということですので、厳密には、
「解除」の問題ではなく、契約が更新
されるかという問題と考えます。

契約書に、自動更新条項
(例:期間満了前の○ヶ月前までに通知がない限り、同一条件で更新するものとする。)
があれば、指定の期日までに契約を更新しない旨を
B社がA社に対して通知することが必要です。

一方で、自動更新条項がない場合には、
期間満了により契約は終了します。

(2)報酬等について

>B社はコンサルティング業務の報酬として、タイムチャージでA社に
>3ヶ月に一度に請求しています。

とのことで、契約書上は、タイムチャージによる
業務報酬となっているものと思われます。

基本的にコンサルティング契約の場合には、
タイムチャージによる請求ということであれば
問題ないと思われますが、以下の点は気になるところです。

>B社がA社から受託したコンサルティング業務は、契約期間満了時
>までに全て完了しない見込みです。

とのことで、契約書に特段条項がない場合には、
仮に、契約終了時までにコンサルティング業務が
終了しないことがBの帰責事由に基づくものであり、
完了前の終了により、Aに損害が生じたと評価される
場合には、BはAに対してその損害賠償義務を負うこととなります。

通常のコンサルティング業務でタイムチャージによる
契約である場合には、これ以上業務をすれば、よりチャージがかかることになる点
、Bに「帰責事由」があることやAに「損害」が生じたことの認定が
される可能性自体は高くはありません。

何に対するコンサルティング業務であるかや
何を前提にA社とB社が契約をしたのか等の個別事情に
よっては、上記のような状況ですと、
可能性自体はどうしても残ってはしまいますが。

なお、事実上の影響としては、
更新しない旨の通知をすると、
3ヶ月に1回の最後の請求について、
A社が支払い拒んでくる等の対応をしてくる
可能性もあり得るかなとは思います。
(その際は、B社が報酬を請求し、
A社が損害賠償請求により相殺の主張+報酬を超える損害賠償の請求など
をしてくることになると思いますので、上記の損害賠償請求が認められるのか、
という問題に収斂されていくこととなると思われます。)

よろしくお願い申し上げます。